ロシアのウクライナ侵攻により原油や天然ガスの先物価格が高騰している。ロシアの石油・天然ガスの輸出量シェアは高く、資源を輸入に頼る日本への影響は甚大だ。今後、ロシア産の石油・ガス輸出が途絶する可能性はあるのか。エネルギーアナリストでポスト石油戦略研究所代表の大場紀章氏に解説してもらった。

(出所:123RF)
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 ウクライナ情勢が喧(かまびす)しい。日々刻々と変化する情報を追いかけ、さらにその検証を行うだけで時間が過ぎていく。国際政治の世界は、まさに「一寸先は闇」であり、今後誰がどのような判断を行うのかは、文字通り「不確実性」そのものである。

 そのような中で、原油価格の高騰が続いている。2022年3月3日、原油の国際指標の1つである北海ブレント原油先物価格が一時、1バレル118ドルを超えた。1週間の平均価格の推移ベースでは、2020年3月上旬の5倍であり、これは2年間の価格上昇として過去最高水準の速度である(図1)。

 価格水準としては、2011年から2012年にかけてたびたび同程度の価格をつけたことがあり、その時代に戻ったともいえるが、あまりに急激な上昇は消費者の生活や、金融当局の政策に大きく影響するだろう。

ロシアのウクライナ侵攻で原油価格は高騰している
ロシアのウクライナ侵攻で原油価格は高騰している
図1●北海ブレント原油先物価格の推移(出所:Trading Economics)

 とはいえ、現時点で伝えられている限り、物理的な原油供給の「途絶」が発生したという報告はない。従って、現在の原油高は、従来から続く上流開発投資不足による原油価格高騰に、ウクライナ情勢をめぐる心理的なリスクプレミアムが上乗せされたものと理解できよう 記事リンク:「世界同時多発エネルギー危機の真因、スケープゴートになった脱炭素政策」

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