新電力各社が騒然としている。日本卸電力取引所(JEPX)が3月5日に公表した1月のインバランス料金単価の確報値が、速報値を大きく上回ったからだ。支払金額は速報値での算定の約1.5倍に膨れ上がった。支払い額の増分は月商の3割程度に相当する模様で、事業規模によっては数十億を超える。新電力各社は再び資金繰りに奔走している。

 「なぜここまで上振れしたのか困惑している。速報値をベースに資金調達になんとかめどをつけたところだった。支払金額が判明したのが3月5日。一般送配電事業者に4月5日までに入金しなければならず、資金繰りに悪影響がある」。

 これはある新電力幹部の言葉だが、大半の新電力が同じ状況にある。今冬に電力市場を襲った未曽有の高騰。その余波が新電力の経営に再び大きなダメージを与えようとしているのだ。

 インバランス料金とは、小売事業者の需要計画(需要想定)と実際の需要にズレが生じたときに、そのズレに対して一般送配電事業者に対して支払うお金のことだ。同様に、発電事業者は発電計画と実際の供給力のズレに対して支払う。

 小売事業者と発電事業者がそれぞれに30分のコマごとに、同時同量を達成すべく努力することで、日本全体の安定供給を担保するという仕組みだ。

 インバランス料金の支払額は、需給状況を反映したインバランス料金単価とズレた分の電力量を乗じて算出する。インバランス料金単価は、実際に発生したインバランス量がスポット市場で取引されていたと仮定して入札曲線を引いて交点を求め、さらに補正をかけたものだ。需給に加えて、市場価格を反映する仕組みになっている。

 実際に電力を供給した日の4~5日後にJEPXがインバランス料金単価の速報値を公表。約2カ月後に、実績データで算定した確報値が公表される。支払期限は確報値の公表の1カ月後。1月分でいえば、4月5日となる。

 確報値の最高値は1月11日9:00~9:30のコマで、速報値では202円/kWhだったところが、511円/kWhとなった。電力の販売価格が20~30円/kWhであることを考えると、この金額がどれだけ大きいか分かるだろう。

 ちなみに速報値でインバランス料金単価が過去最高値の225円/kWhを付けたのは、1月14日の7:00~7:30のコマ。これが確報値では300円/kWhとなった。
 1月の全1488コマのうち、半数以上の762コマで確報値が上振れしている。傾向としては1月中旬に大きな乖離が発生している。

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