年明けの電力市場は“大荒れ”という表現を超えている。夜間を含む全時間帯で供給力が不足し、凄まじい高値が並ぶ。東京と関西エリアでは、電力広域的運営推進機関が発電事業者に対して最大出力運転を指示した

 卸電力市場が狂乱状態に陥っている。1月7日に約定した8日受け渡し分は24時間平均でついに99.9円/kWhに達した。

 異常なのは1月5日分以降、4日間、夜間を含めたほぼすべての時間帯で玉切れ(売り切れ)状態が続いていることだ。大きな災害があったわけでもないのに、全時間帯で供給力が需要に追いついていない。誰もが予想外の事態が進行している (「電力市場の異常な高騰はまだまだ続く? LNG供給に乱れ」「年明けも続く? 長引く電力市場の異様な高騰」)。

 1月6日、電力広域的運営推進機関は「需給状況悪化に伴う発電に関する指示」を出した。

 東京エリアと関西エリアでは複数の発電事業者と小売電気事業者に発電設備を最大出力で運転し、発電余剰分を市場に投入することを指示した。2エリア以外でも「最大出力」こそ要請していないものの、追加発電で生じた余剰分の市場投入を指示した。

 広域機関は需給改善を目的に、一般送配電事業者を対象とした調整力の融通指示はこれまでたびたび出してきたが、市場投入を目的に発電事業者や小売電気事業者に対して追加的な発電指示を出したのはこれが初めてだ。

 指示を出した対象事業者数や出力規模は公表していないが、広域機関による初の発電指示はここ数日の需給ひっ迫の深刻度合いを裏付けるものと言っていいだろう。

 LNG(液化天然ガス)不足によるガス火力の出力低下が大きな要因と見られる中、炊き増しされる発電設備は石油火力が有力視される。起動までに一定の時間を要することも考えられ、市場への効果も未知数だが、まずは可能な限り早期の市場投入が望まれるところだ。

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