実証中の「スマート発電ウィンドウ」
実証中の「スマート発電ウィンドウ」
(出所:日経BP)
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開発中のフィルムタイプの有機薄膜太陽電池
開発中のフィルムタイプの有機薄膜太陽電池
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 伊藤電子工業(山形県寒河江市)は12月14~16日に東京ビックサイトで開かれた住宅・都市イノベーション総合展に有機薄膜太陽電池を組み込んだ木製フレームの窓「スマート発電ウィンドウ」を出展した。同製品は開発中で、窓1枚(44.9×101.5cm)の平均発電量は1日3Whとなる。

 高分子型の有機薄膜太陽電池パネル(5×5cm)96枚を透明アクリル板に挟み込んだ。パネルは太陽光の透過率0%のタイプを32枚、透過率30.4%のタイプを64枚、搭載した。変換効率は、前者が3.50%、後者が2.00%になる。窓1枚の定格出力は1.2W。

 今回、展示した「スマート発電ウィンドウ」は、山形大学が米沢市内に設置した実証住宅「スマート未来ハウス」に導入し、現在、実証中のもの(関連記事) 。同実験住宅では、南向きの窓枠に「スマート発電ウィンドウ」を設置した。3月の晴天日なら最大で1日6Wh、曇天の場合、1Whで、1週間での平均で1日3Whの発電量となっているという。

 「スマート発電ウィンドウ」に組み込んだ有機薄膜太陽電池は、赤外線や紫外線を遮蔽する効果あるため、住宅や自動車、電車などの窓に適用した場合、物の色あせや日焼けを防いだり、室内や社内の温度上昇を抑制したりする効果が期待できるという。

 有機EL素子を使った表示・照明デバイスが、電気を光に変えるのに対し、有機薄膜太陽電池では光を電気に変換する点で、逆の変換プロセスになる。ただ、有機半導体の積層構造や製造方法は、有機EL素子と似ており、耐久性やコスト削減が課題になるという。

 伊藤電子工業では、展示したガラス基板を使ったタイプについては、さらなる変換効率の向上とともに、1年以内の製品化を目標に開発を進めている。また、並行して、透明樹脂フィルムを基板にしたフレキシブルタイプの研究も進めているという。