米国アリゾナ州で2100人以上の個人や数十の団体が、同州の公益事業委員会(Arizona Corporate Commission、ACC)に書簡を送り、電力大手による電気料金改訂の提案をACCが却下するよう求めている。太陽光発電の支持組織である米Energy Freedom Coalition of America (EFCA)が8月4日、明らかにしたもの。

 電気料金の改訂を提案しているのは、同州北西部のモハーヴェ(Mohave)郡と南部のサンタクルス(Santa Cruz)郡で電力を供給するエネルギー事業者UniSource Energy(UNS)社である。

 同社の提案には、「デマンドチャージ」と呼ばれるピーク需要時に使用する電力に追加で課金される料金の導入と、余剰電力買取(ネットメータリング)における価格の改定などが含まれている(関連記事1)。いずれも、太陽光発電システムによる売電収益を減少させるため、太陽光発電を支持する消費者や関連企業は強く反対している。

 デマンドチャージ導入やネットメータリングの価格改定などが既に実施された地域では、太陽光発電の普及に急ブレーキがかかることが報告されている。

 例えば、同じアリゾナ州内でデマンドチャージ導入やネットメータリングの価格が改定されたSRP社のサービス地域では、太陽光発電の新規導入が約95%下落したという。また、ネットメータリングによる買取価格が大幅に引き下げられたネバダ州では、太陽光発電産業が撤退するなど、地域の雇用にも影響を与えている。

 UNS社による電気料金改訂の提案に対しては、同州のある行政法判事がACCに対して懲罰的な性格の強いデマンドチャージを拒否し、ネットメータリング制度を改定する前に太陽光発電の価値をさらに分析するよう指示を出したという。

 3月と4月には、1500人を超えるUNS社の顧客がこの問題に関する公聴会に参加し、ACCの前で同社の提案に対する反意を示した。その際の参加者数が圧倒的であったため、ACCは公聴会の再設定を余儀なくされたという経緯もある。

 テキサスやカリフォルニアなど他の州でも、ネットメータリングに適用される電気料金の改訂や太陽光の接続制限などを地域独占の大手電力事業者が進めようとしており、全米で社会問題化しつつある(関連記事2関連記事3関連記事4)。