米国市場は2015年の年末ぎりぎりに連邦政府の「再生可能エネルギー導入投資税控除(ITC)」政策延長が可決され、さらなる太陽光発電市場の成長に明るい見通しが立った。しかし、米国の太陽光発電市場をリードするカリフォルニア州において、同州の太陽光発電市場の将来を左右する重要な州レベルの制度が未解決のまま年を超えた。

 それは同州で分散型太陽光発電分野の普及を支えてきた「ネットメータリング(net-metering)」と呼ばれる制度である。「ネットメータリング」とは、分散型発電設備の所有者に対する電力料金の算定手法だ。住宅用などの分散型太陽光発電システムの発電量から、電力消費量を差し引いて余剰電力量が発生した場合、余剰分を次の月に繰り越せる、つまり、消費量を発電量で「相殺」する仕組みである(図1)。

図1●ネットメータリング制度を利用する住宅用システム。出力7.6kW(出所:Sullivan Solar Power)
図1●ネットメータリング制度を利用する住宅用システム。出力7.6kW(出所:Sullivan Solar Power)
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 この制度では、ネットメータリングの総設置容量に関し、法律で上限を定めている。上限は、「キャップ(CAP)」とも呼ばれる。ネットメータリングを活用する分散型太陽光発電システムの総設置容量が、キャップに達すると、電力会社は同システムの設置を基本的に拒否できるようになる。カリフォルニア州ではこの上限に近づいており、2015年に電力会社と太陽光発電を推進する企業やサポーター(支持者)間で同制度をめぐる論争が一段と激しくなった。

 現在のネットメータリング制度は、発電量1kWhは電力購入の小売価格と同等で取り扱われていたが、カリフォルニア州の大手電力会社は「余剰電力買い上げ価格を下げる」、または「太陽光発電システムの所有者に特別の料金を課す」との方針を申請した。