最高熱効率が40%に達するトヨタのガソリンエンジン。新型「プリウス」に搭載。
最高熱効率が40%に達するトヨタのガソリンエンジン。新型「プリウス」に搭載。
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 ガソリンエンジンが大きく進化し始めた。「日経Automotive」誌2016年7月号で、「ダウンサイジング終焉」と題する特集記事を掲載。日系メーカー各社が、究極の技術といえる希薄燃焼(リーンバーン)の実現に力を注ぐ状況を報告した。熱心なメーカーの一つがトヨタ自動車である。同社エンジン先行設計部部長の友田晃利氏に、ガソリンエンジンの見通しを聞いた。

――トヨタは、ガソリンエンジンの熱効率で50%を目指すと公表している。希薄燃焼を重要技術の一つに掲げる。

 熱効率で50%という高い水準に達するには、サイクル効率を極限まで上げる必要がある。気筒内に入れるガス量(作動ガス)を増やすことが必須だ。実現手段は大きく二つ。一つが、理論空燃比に比べて多くの空気を入れる、いわゆるリーンバーン。もう一つが、空気量は理論空燃比にとどめつつ、EGR(排ガス再循環)量を増やす手段である。ただし、いずれも燃焼速度が低くなる方向。燃焼速度を高める技術がいる。

 (リーンバーンとEGRのうち)熱効率向上の観点では、排ガスより比熱比が大きい空気を多く入れるリーンバーンのほうが有利である。ただし、リーンバーンにすると排ガスに含まれる空気量が多くなり、(NOx〔窒素酸化物〕やHC〔炭化水素〕などを取り除く)三元触媒が使えなくなる。三元触媒に頼らずに、排ガスを浄化するという課題を克服しなければならない。