右が検査キット(検査用DNAチップカード)
右が検査キット(検査用DNAチップカード)
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検査装置
検査装置
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 川崎市(神奈川県)と東芝メディカルシステムズは、食中毒原因菌を短時間で判定できるDNA検査システムを、熊本地震の被災地に供与する。2016年5月27日に両者が開催した記者会見で発表した。

 供与するDNA検査システムは、川崎市健康安全研究所と東芝の共同研究の成果として開発されたもので、2015年1月に発表・発売している(関連記事)。食中毒原因菌14種類(22遺伝子)を同時に判定でき、約2時間という短時間で原因菌判定を完了できるのが特徴だ。

 最終的な原因菌の確定には、細菌の培養を伴い4~5日の期間を要する「公定法」で実施することが定められている。今回のDNA検査システムは、その前段階で早期に原因菌の見当を付けるのが役割となる。

 もともと、今回のDNA検査システムの開発の背景には東日本大震災がある。被災地域の避難所、給食施設などにおける食中毒原因微生物のモニタリング、迅速検査の必要性を感じたことから、開発がスタートした。今回の熊本地震の発生に伴い、「こうした状況のときにこそ同システムを活用するべき」との思いが川崎市と東芝メディカルシステムズで一致したという。

 検査装置は、熊本県保健環境科学研究所と熊本市環境総合センター(いずれも衛生研究所)に各1台を供与。検査キット(検査用DNAチップカード)はそれぞれの施設へ各300枚提供する。供与にあたっては、2016年5月31日~6月1日に川崎市健康安全研究所と東芝メディカルが担当者を現地へ派遣し、操作説明・指導などを行う。供与期間は、同年5月31日から約6カ月を予定する。