見渡す限りの黄色、黄色、黄色(たまに緑色)の世界――。そこにあったのは、鮮やかな黄色のコーポレートカラーで知られるファナックのロボットや工作機械だった。

報道関係者を対象に新製品発表展示会の会場を公開した様子。中央で説明しているのは、ファナック専務取締役ロボット事業本部長の稲葉清典氏。
報道関係者を対象に新製品発表展示会の会場を公開した様子。中央で説明しているのは、ファナック専務取締役ロボット事業本部長の稲葉清典氏。
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 2016年4月18日、ファナックは開発中の工場向けIoTプラットフォーム「FANUC Intelligent Edge Link and Drive(FIELD)system」の発表に伴い(関連記事)、山梨県・忍野村にある本社で報道関係者を対象に新製品発表展示会の会場を公開した。翌19日から顧客や取引先を順次招待する予定だという。

 中でも注目に値するのが、前述のFIELD systemを採用したデモンストレーションである。FIELD systemの開発には、ファナックの他に米Cisco Systems社、米Rockwell Automation社、Preferred Networks(以下、PFN)が参加している。Cisco Systems社とRockwell Automation社が共同で開発した「Converged Plantwide Ethernet(CPwE)」と呼ぶネットワーク上でファナックのロボットや工作機械がつながり、予兆保全や協調制御などの高度な生産管理を実現する。さらに、現場に近いレイヤーでPFNのディープラーニング技術を活用することで、生産管理のリアルタイムかつ自律的な進化を図れるという。

 その一例が、複数のロボットの学習成果を共有することで、学習効率を高めるシステム(分散深層学習)だ。具体的には、バラ積みロボットを3台用意し、ティーチング(教示)を全くしていない状態からディープラーニング技術によってワークのつかみ方を自律的に学習させる。その過程で個々のロボットの学習成果(成功/失敗)を都度共有すると、1台で学習する場合と比べて学習にかかる時間が1/3で済むという。

ディープラーニングによる学習成果を共有する3台のバラ積みロボット。
ディープラーニングによる学習成果を共有する3台のバラ積みロボット。
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