「内装が(人とクルマの)インターフェースになり、特に光の役割が増えていく。明るく照らすだけだった照明に、今後は機能が付加されるようになる」。自動車向けの内装部品を手がける河西工業の執行役員で先行開発グループ担当の田村谷誠氏はこう語る。

 これから訪れる自動運転時代。消費者が求めるのは、“安全で快適な空間”だ(関連する日経Automotiveの特集記事)。それを実現する上で重要な役割を担うのが、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)である。クルマが何を考え、どのような制御を実行するのか。運転者に適切に伝えてくれるHMIが必要になる。

 自動運転車向けのHMIで人とクルマをつなぐ手段として、河西工業が着目したのが光だった。ディスプレーへの情報表示だと、よそ見していると気付かない。光であれば、周辺視野に自然と情報が入ってくる。

 同社は、こうした考え方を取り入れた自動車ドアの試作品を開発した(下記の動画参照)。ドアにLED照明を埋め込んで、車内空間を演出できるようにした。自動運転車に搭載すれば、例えば緊急の自動ブレーキを作動させる際に車室内を赤色にするといった使い方が考えられる。

 開発にはシミュレーションを積極的に活用した(詳細は、日経Automotive2016年3月号の記事を参照)。試作を繰り返すより、デザイナーや顧客のイメージを素早く具現化できる。