製薬会社から数万種もの医薬品を仕入れ、それを病院や薬局などに納める医薬品卸売業。
国内で約12%のシェアを占める同業大手の東邦ホールディングス(HD)は、同業種として国内で初めて多関節ロボットを自社の物流拠点に大規模導入。医薬品の配送の正確度を99.99999%(セブンナイン)と事実上ゼロにした。
物流センターの人員1人当たりの生産性も77%増加させるなど、ロボットを活用した自動化で顕著な成果を上げた(図1、表1)。
約100億円を投じて、東日本地域での医薬品配送を担う自社の物流センター「TBC(「TOHO Butsuryu Center)埼玉」を2014年に新設。この100億円のうち約40億円を当てて導入したロボットや自動倉庫による成果だ。安川電機製の産業用ロボット20台が、このTBC埼玉で日夜、医薬品のピッキングなどを行っている。東邦HDは2016年には西日本地域での配送を担う「TBC広島」を着工予定で、ここでは自動化率をさらに高める計画だ。
正確さ向上と人手不足解消を担う
同社は多数の製薬会社、病院、調剤薬局などと医薬品をやり取りする卸売業という性質上、物流拠点の効率化や自動化には長年、積極的に取り組んできた。
物流センター内にある倉庫からの医薬品の入出庫を自動化する「マテリアルハンドリング(マテハン)装置」に投資してきたほか、2006年には、物流センター内で医薬品を入れるカゴにLEDのサイン付きの無線タグを導入。
作業すべき対象のカゴのタグを光らせ一目で分かるようにするなど、人手作業でのミスを減らす工夫を重ねてきた。今回のロボット導入も、こうした活動の延長線上にある。