水質や土壌、大気など環境関連の検査分析調査を手掛ける企業である環境管理センター(ECC)は、従来人間が行っていた社内での分析作業に双腕ロボットを導入した。
狭い部屋で長時間、神経を使う作業を繰り返し行う必要のあるPM2.5の秤量作業をロボットで自動化し、従業員の負担を軽減することに成功した(図1)。システム構築費用を含めて約2000万円の費用を投じ、川田工業の双腕ロボット「NEXTAGE」を導入(表1)。エンドエフェクタや各種治具なども新規開発した。
同社は、水や土壌に含まれる6価クロム(Cr6+)やシアン化合物といった有害物質の分析作業向けにも、同ロボットを用いたシステムを現在、開発中である。こちらは2016年に稼働させる予定だ。検査分析業界でこうした汎用のアーム型ロボットを導入するのは「非常に珍しい」(同社 分析センター 受託試験グループ サブグループリーダーの仲地史裕氏)という。
生産性よりも過酷さの軽減
ECCは、公官庁や企業などから化学分析や環境調査などを請け負う検査分析業の大手である。
河川水や地下水、土壌、大気、粉塵などのサンプルを現場で採取し、それを東京都内にある高尾拠点や日野拠点、千葉市にある拠点などに持ち帰り、各種の装置を用いて分析する。
ガスクロマトグラフィなど1000万円以上の高額な機器を導入・利用するのが日常的な業界であることや、同社代表取締役社長の水落憲吾氏による「ロボットを積極的に活用していく」との方針もあり、約2000万円というロボットの導入費用についてはそれほど障害とはならなかったという。