兵庫県三田市にある、出力約7.3MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)が「三田市メガソーラー」である(図1)。神戸電鉄公園都市線の南ウッディタウン駅から、歩いて10分ほどの丘の上に立地する。この一帯に開発された新興住宅地も近い。

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図1●兵庫県三田市に出力約7.3MWのメガソーラーを開発
図1●兵庫県三田市に出力約7.3MWのメガソーラーを開発
新興住宅地に近い丘の中腹にある(出所:上はバイテックグリーンエナジー、下は日経BP)
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 エレクトロニクス関連の商社として知られるバイテックグループが開発・運営している。バイテックホールディングスの子会社であるバイテックグリーンエナジー(東京都品川区)が開発し、バイテックグリーンエナジーの100%子会社であるバイテックソーラーエナジー(東京都品川区)が発電事業者となる。

 バイテックの太陽光発電への取り組みは、2009年ころに始まった。新たな事業の開発を模索する中、米国の太陽光パネルメーカーなどと提携し、静岡県沼津市の約40の小中学校に、同メーカー製の円筒状の太陽光パネルを設置する取り組みに関わった。この取り組みを全国に広げていくことを目論む中で、地方自治体とのネットワークを広げていった。

 この取り組みは、米国の太陽光パネルメーカーの経営破綻によって断念したものの、その後、地方自治体と密接に関わって、太陽光発電やエネルギーの地産地消といった取り組みを実現していくための起点となった。

 例えば、固定価格買取制度(FIT)に基づく発電事業向けの土地の賃借などのほか、エネルギーの地産地消では、群馬県中之条町における新電力の設立が知られている(関連コラム1)。

 バイテックは、地方自治体とのネットワークを生かし、太陽光発電所の用地を確保していった。

 発電事業への参入は、商社としての取引先である韓国サムスン電子が太陽光パネル事業に参入し、販売を担うことになったことも、大きな契機になったという。製品の販売だけでなく、発電事業にも乗り出した。こうした理由から、初期に開発した太陽光発電所は、サムスン電子製のパネルを採用していた。

 発電事業の最初の案件は、福岡県小竹市にある出力約2.5MWで、2013年3月に稼働した。2月現在で、31カ所・合計出力約78MWの太陽光発電所が稼働済みとなっている。今後、2017年3月期中に、40カ所・約112MWまで拡大する計画を進めている。

 こうした経緯から、地方自治体などから土地を借り、事業用地とすることがほとんどとなっている。太陽光発電ではなく、植物工場などに活用する場合も出てきている。

 いずれも、三田市の案件と同じように、バイテックグリーンエナジーが開発し、バイテックソーラーエナジーが発電事業者となっている。