2018年の年明け、キヤノン傘下で新しい医療機器メーカーが誕生した(関連記事1)。「キヤノンメディカルシステムズ」。2016年12月にキヤノンが買収した旧・東芝メディカルシステムズだ。X線CT装置で国内首位のシェアを持つ画像診断装置大手である。
そのかつての親会社だった東芝は2018年1月、同年3月末時点での債務超過を解消できる見通しだと発表。不正会計問題に端を発し、経営危機に陥った東芝にようやく一筋の光が差してきた。
東芝が、経営危機にあって決して手放そうとしなかった事業もある。その一つが、重粒子線がん治療装置だ。2015年12月に東芝メディカル売却の意向を表明した直後、東芝社長(当時副社長)の綱川智氏は、重粒子線治療装置事業は「東芝本体で責任を持って続ける」と売却の可能性をきっぱり否定した(関連記事2)。
東芝における重粒子線治療装置の位置付けを含め、事業戦略や技術開発の方向性について 事業責任者を務める柳瀬悟郎氏(東芝エネルギーシステムズ 原子力事業部 事業部長)に聞いた。