今回は、新規事業開発メンバーの人材育成について述べたいと思います。初めに、各社の人材育成の取り組み状況について、「日経テクノロジーオンライン『新規事業開発は希望者に任せるのが一番』に掲載されている「新規事業開発のリーダー育成に関する仕組みや取り組み」のデータを見ていきます。

図1●新規事業開発のリーダー育成に関する仕組みや取り組み
図1●新規事業開発のリーダー育成に関する仕組みや取り組み
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 このデータを見ると、新規事業開発のリーダー育成に関する仕組みや取り組みが「特にない」という回答が圧倒的に高く(全体平均で50.8%)、次いで「新規事業開発に関する社外の単発的なセミナー、講演などに参加できる」が高い(全体平均で26.3%)状況です。「既存事業の延長線上だけ考えては生き残れない。開発をどう効率化するか? というHowよりも、何の事業・製品を創れば儲かるか?というWhatが重要」などと以前から製造業各社の方々がコメントしていますが、その実現において最重要事項の1つとして挙げられる人材育成の状況として見るには、驚くべき結果です。本当に新規事業開発を真剣に考え、取り組もうとしているのか、疑問を感じざるを得ません。

 それでは、新規事業開発メンバーの育成は、具体的に何をすればよいのでしょうか? まずはその前提となる、新規事業開発メンバーが保有すべき資質とスキル要件から考えてみたいと思います。