「日経ものづくり」が2016年3月号の「数字で見る現場」で実施したアンケート調査「新規事業開発の方向」では、新規事業開発の成否を左右する要因の一端が明らかになりました。新規事業開発のアイデアは顧客から得て、その要望からのかい離が少ないほど成功する傾向があること、組織的な取り組みが不足していると失敗しがちであること、などが分かりました。
日経ものづくり誌に掲載した結果以外にも、新規事業開発がうまくいく場合とそうでない場合の比較で興味深い結果が得られましたので、ここで紹介します。新規事業開発の組織的な取り組みの在り方は、担当者の育成や人・もの・金を十分に投入する一方で、発案者や希望者の裁量に任せるという、支援強化と権限移譲の微妙なバランスが通常業務以上に要求されるようです。(設問協力:PwCコンサルティング)
新規事業開発は必要か
ほぼ全回答者が「必要」と回答しました。企業にとって新規事業開発が必要であることは議論の余地がほとんどないようです。
どのような資源を活用するか
別の設問で、回答者の勤務先について新規事業の状況がどうかを聞いた結果(日経ものづくり2016年3月号p.62)でクロス集計しました。勤務先の新規事業開発について「だいたいうまくいく」「うまくいくことが多い」「うまくいく場合が半分くらい」のどれかを回答したグループ(以下「成功グループ」)、「うまくいくものは少ない」「うまくいくものはほとんどない」のどれかを回答したグループ(以下「失敗グループ」)に分けて見ました。成功グループの方が「技術力」「パートナー企業」「顧客基盤」を活用するとの回答が、若干ながら多くなりました。
どのようなパートナーと協力するか
全体の傾向は「成功グループ」と「失敗グループ」であまり差がありませんが、「成功グループ」の方が全体的に回答率が高い結果でした。