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新米上司に贈る「トヨタ流人づくり」の極意

トヨタの上司はホウ・レン・ソウに頼らない

  • 肌附 安明=HY人財育成研究所 所長
  • 2017/09/11 05:00
  • 1/2ページ

出典:日経ものづくり、2015年5月号、pp.98-102(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

本コラムでは、日本メーカーの管理者や社員が抱える悩みに関して、トヨタ自動車流の解決方法を回答します。回答者は、同社で長年生産技術部門の管理者として多数のメンバーを導き、その後、全社を対象とする人材育成業務にも携わった経歴を持つ肌附安明氏。自身の経験はもちろん、優れた管理手腕を発揮した他の管理者の事例を盛り込みながら、トヨタ流のマネジメント方法を紹介します。
悩み
設計開発部門の部長を務めています。ここ数年、我々の部門では、海外の国や地域ごとの細かな設計対応に追われて業務量が急増しています。これまでは自分でほぼ全てのプロジェクトを管理してきましたが、そろそろ限界を感じつつあります。今後はできる限りプロジェクトを部下に任せたいと思っているのですが、うまくいくのか心配です。成功率を下げずに部下にプロジェクトを任せる良い方法はありませんか。

前回から)部下を育てるために、これぞと思ったタイミングで「全ての責任と権限を与えて、できる限り任せる」のがトヨタのやり方だと肌附氏は話す。丸投げとは違い、上司は部下の仕事の進行をチェックするが、その際、いわゆるホウ・レン・ソウは無意味なので部下には課さないという。

形式的な「ホウ・レン・ソウ」は無意味

編集部:部下に仕事を任せる場合、間違った方向に進まないように、管理者としてはきちんとチェックしなければならないということですね。ということは、それこそ毎日のように「ホウ(報告)・レン(連絡)・ソウ(相談)」を課すのでしょうか。

肌附氏— 形式的なホウ・レン・ソウには意味がありません。ホウ・レン・ソウを毎日のように課すのは、せいぜい入社3年目ぐらいまでの部下でしょう。いつまでも続けていたら形式的になり、その部下はやはり自分でものを考えずに上司のいいなりになる可能性があります。そのうち、上司に怒られるのが嫌だから、仕方なくホウ・レン・ソウを実施するという状態になってしまうかもしれません。

 仕事を任せることには、「部下を育てる」という狙いもあります。上司がホウ・レン・ソウを毎日行わせるという状態では、部下は信頼されているとはとても感じないことでしょう。そうではなく、効果的にホウ・レン・ソウを行う部下に育てるべきです。例えば、相談に関して言うと、まだ手が打てる段階で相談に来る部下が優秀な部下。ここまで来たら後はもう打つ手がないという事態になって相談にきても、時は既に遅しです。

編集部:必要な時に必要なホウ・レン・ソウを行うということですね。

肌附氏— もっと言えば、管理者は部下からのホウ・レン・ソウだけに頼っていてはいけません。任せた仕事の状況は、むしろ管理者が自ら把握するように努めるべきです。難しいことをはありません。機会を見つけてその部下のところに行き、軽く話をするだけ。すると、部下の表情や顔色、行動などから、仕事がうまく進んでいるか否かはすぐに分かります。

 そして、トヨタ自動車の管理者がよく実践しているのが、部下本人ではなく、その関係者や協力者に話を聞くことです。かつて、生産技術部門にいた私は、部下にプロジェクトを任せた時に、そのプロジェクトの協力者である生産部門の社員からよく話を聞いていました。

 世間話をしながらあるタイミングで、「どうですか、このプロジェクトの調子は?」などと聞きます。すると、「まずまずなんじゃないですか。うまくいっていると思いますよ」と返ってくる場合は問題がありません。ところが、「めちゃくちゃですよ。こんなやり方でうまくいくわけがない」といった声が上がる時には要注意です。もしかすると、部下は良いことしか報告していないのかもしれません。関係者や協力者に話を聞くこうした方法は、二重チェックにもなるのです。

 いずれにせよ、部下からホウ・レン・ソウがないから情報がないというようでは、管理者として失格です。仕事を任せる際には、仕事を任せた部下に「君が主役になってこの仕事を進めるんだ」と言って責任と権限をできる限り与える。一方で、部下からのホウ・レン・ソウに頼り切ったり丸投げしたりせず、仕事の進捗状況を管理者自らが把握すべく努力することが大切です。

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