漏れた尿で発電するおむつ

 おむつに漏れた尿で発電し、その電力を無線通信に利用しておむつ交換のタイミングを介護者に通知する。立命館大学 理工学部 電子情報工学科教授の道関隆国氏は、そんな技術を開発しプロトタイプを2016年12月に発表した(関連記事)。

 「ワイヤレス尿失禁センサシステム」と呼ぶこのシステムは、紙おむつの肌に当たらない箇所(吸収剤と防水シートの間)にアルミニウムと活性炭の電極を挟み込み、無線通信回路などを含む電子回路(センサー部)を外付けしたもの。この紙おむつを装着した高齢者が尿を漏らすと電力が発生し、尿の量に応じてその発電量が増える仕組みだ。

ワイヤレス尿失禁センサシステム。前に出ている基板がセンサー部
ワイヤレス尿失禁センサシステム。前に出ている基板がセンサー部
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 発生した電力はセンサー部のコンデンサーにため、一定量に達すると無線信号を発信する。パソコンなどで受信する信号の間隔が漏れた尿の量に応じて短くなる性質を利用し、尿漏れの回数と量を推定。紙おむつがぐっしょり濡れたような“換え時”になると、おむつ交換のアラートを出す。高齢者が少しくらい尿を漏らしても、交換の必要がなければ放置し、無駄なおむつ交換を防ぐシステムでもある。

 コストの大半を占めるのはセンサー部だが、数百円と安価に製造でき、電極付き紙おむつを交換する際にもセンサー部は繰り返して使える。実用化に向けて「協力が得られるおむつメーカーを探している」(道関氏)という。