「学生でもイノベーションは起こせる」――。こう熱く訴えたのは、AppliCare 副代表の久和俊介氏(東京大学 医学部4年)だ。

AppliCare副代表の久和俊介氏
AppliCare副代表の久和俊介氏
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 医学に工学、経営やデザイン…。これら多分野の学生が、新たな医療の実現に向けて医療現場の課題解決に取り組む。そんな医療系アプリ開発コンテストであるAppliCare。第3回となるAppliCare2015(2015年8月23日に決勝コンテスト開催)の入賞チームと共に「デジタルヘルスDAYS 2015」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)の主催者企画(オープンシアター)に登壇した久和氏。多くの聴衆の視線が集まる中、学生の強みについて次のようにアピールした(関連記事:学生が起こすイノベーション、AppliCareで入賞したのは…)。

 「目標さえ定まれば、学生には時間が豊富にある分、すぐキャッチアップができる。学生だから斜め上の発想ができるし、いろんな人とフラットに共存でき、困ったときには大人に助けてもらえる。失敗しても失うものはないので、失敗も次の成功のもとと捉えて取り組める」。

 AppliCareは、企業からの協賛・協力も取り付けており、定期的に企業によるセミナーを開催。学生たちが医療系アプリの開発に必要な知識を得られるようにしている。開発チームは、医療系・エンジニア系・ビジネス系・デザイン系の4分野の学生で構成するが、各チームのメンターは医療・ヘルスケア分野で活躍中の社会人が務め、学生の経験不足を補っている。医療機関と連携していることも特徴で、学生たちは亀田総合病院に合宿し、病院での実習やヒアリングを通じてニーズの把握に努める。「これにより、イシュー・ドリブンで開発ができる」(久和氏)。

 AppliCareが目指しているのは、単にアイデアの披露だけではなく、実際にアプリとしてリリースすること。実際に、AppliCareで生まれたアイデアのうち幾つかは、既にアプリとしてリリースされている。その例として久和氏は、3Dプリンターで製作したピルケースとアプリを連動させた服薬支援サービス「flixy」、人工肛門や人工膀胱を造設した人(オストメイト)向けのトイレを案内するアプリ「オストメイトなび」、HIV患者が匿名で悩みや不安を相談できるアプリ「BlueSky HIV」を紹介した。