講演する小原氏
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「HEALTHPLAYER」などを紹介した展示ブース
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 「PHR(personal health record)活用ビジネスはまだまだ黎明期にある」(プラクテックス 取締役の小原由記子氏)――。スマートフォンやウエアラブル端末の登場は、バイタルデータやライフログといったPHRを容易に収集できる環境を生み出した。だが、集めたデータを活用したビジネスとして、誰もが認める成功例はなかなか生まれない。ジレンマはどこにあるのか。

 ヘルスケアベンチャー、プラクテックスの小原氏は「デジタルヘルスDAYS 2015」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)のオープンシアターに登壇。「PHR活用ビジネスの事例」と題し、PHR活用ビジネスが直面する課題や、その克服を目指して同社が提供中のサービスを紹介した。

スケールしないサービスばかり

 PHR活用ビジネスの課題は、小原氏によれば大きく3つある。第1に、拡大型のビジネスモデルを生み出せていないこと。一般消費者を対象とするBtoC領域では、テーマ特化型の有料アプリが目立ち、それを大規模なサービスにスケールする仕組みを構築できていない。企業や団体を対象とするBtoB領域でも、健保の枠組みの中での限られた機能提供や、自治体での実証実験にとどまるものが多い。

 第2に、データの中長期活用を視野に入れたビジネスがほとんど存在しない。本人や家族が中長期にわたって管理・活用できる情報に乏しいのが、現行のPHR活用ビジネスの実情だ。

 第3に、個人がアクセスしたり管理したりできる情報が少ない。薬歴や健診情報など一部の情報は開示されているものの、デジタル化されていなかったり、個人による管理が難しかったりするデータがまだまだ多い。