セコム 常務取締役 広報・渉外・マーケティング本部長の布施達朗氏は、「デジタルヘルスDAYS 2017」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)の2日目のカンファレンスに登壇し、同社の医療・介護事業への取り組みを紹介した。同氏は、医療事業を展開するグループ会社、セコム医療システムの取締役会長でもある。

布施氏
布施氏
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 セコムといえば警備会社というイメージの人が多いだろう。実際、創業時の社名は「日本警備保障」で、警備の事業でスタートした会社だ。しかし、医療・介護の分野でも幅広く事業を展開している。これは、「お客様の安心を追求する上で重要であるため」(布施氏)だとし、セキュリティーの一つであると説明。これまでの経緯と取り組みを紹介した。

 セコムが医療の分野に参入したのは1980年代だ。家庭用の安全システム「マイアラーム(現セコム・ホームセキュリティ)」のオプションとして、救急通報システムの「マイドクター」を1982年に始めた。現在は専用端末のストラップを引っ張るだけで緊急通報できる「マイドクタープラス」を提供している。

 突然倒れた際に自動通報する機能を備えた活動量計「マイドクターウォッチ」もある(関連記事)。全国2800カ所に拠点があり、トラブルのあった場所が屋外でもフタッフが駆けつける体制を用意している。1990年代には薬剤提供と訪問看護のサービスも開始。国内で初めて本格的な在宅医療サービスを始めたという。

 セコムは警備事業で古くからICTを活用しており、医療分野でも同様だ。クラウドを利用した電子カルテサービスの「ユビキタス電子カルテ」では、カルテのデータがサーバーに保存してあるため、災害に強い特徴がある。「東日本大震災でも、導入した病院が次の日から診療を再開できた」(布施氏)という。

 ほかにも画像診断支援サービスの「ホスピネット」、地域連携システムの「LINKus」といった事業を展開している。病院との提携も行っており、研修や病院間ネットワークの構築などに携わっている。

 介護事業では「セコムカレア千歳烏山」などの総合ケアセンターを作り、訪問介護や通所介護などの事業を行っているほか、有料老人ホームも運営している。

 セコムは海外21カ国で事業を展開している。その中で、布施氏はインドで2014年に開院した総合病院「サクラ・ワールド・ホスピタル」を紹介した。現地企業と協力して運営しており、開業から約3年で月当たりの外来患者が約2万人に達したという。