電子部品の信頼性技術をより強化することを目的とした活動を、電子情報技術産業協会(JEITA)は進めています(図1)。その活動を担っているのが、JEITAの電子部品部会・技術・標準戦略委員会の傘下にある部品安全専門委員会/信頼性技術強化WGです(電子部品部会における信頼性技術強化に関する取り組み)。JEITA通信でも、これまでの成果物として、「電子部品のFMEA実施ガイド」「医療機器用電子部品の信頼性ガイド」を紹介してきました。

 本稿では、これらの活動と並行して進めてきた「部品安全アプリケーションガイド改正版・JEITA RCR-1001B」の内容について紹介します。

図1 電子部品部会・信頼性技術強化WGの活動
図1 電子部品部会・信頼性技術強化WGの活動

 日本の電子部品の信頼性技術は、日本の機器メーカーとの長い年月をかけた開発段階からのすり合わせにより高められてきた歴史があります。しかし、機器メーカーが製造や開発の海外への外部委託を加速させていることなどから、貴重なすり合わせの機会が減少しています。このため、日本の電子部品メーカー自身で信頼性技術の強化を図ることの重要性はますます高まっています。一方、電気・電子機器の使用用途および使用環境はますます広範囲になっており、部品メーカーだけでは対応・対策を取ることが困難になりつつあります。

 「まさか、そんな用途でこの部品が使われていたなんて」「まさか、この部品がこの用途で使えないなんて」といったことを、不具合が発生してから初めて、部品メーカーや機器メーカーが知ることになる事態は避けなければなりません。

 仮の話ですが、例えば、部品が人の命を左右する医療機器に使われていることを部品メーカーでは知らず、問題が起こって初めてそのような用途で使われていたことが判明したとします。もし、部品メーカーへあらかじめ相談があれば、用途に応じた高信頼性の部品を推奨できたはずです。このように、部品の使われる用途については、機器メーカーと部品メーカーの双方が十分納得した上で、製品の用途に合った部品を使ってもらうことが重要となります。

 信頼性技術強化WGでは、機器メーカーと部品メーカーの設計者が、必要な情報交換を行い、協力し合って部品の信頼性の向上を図っていくことが重要であるという認識に基づき、「部品安全アプリケーションガイド」の改正作業を進めてきました。