機器開発を進める上で必要不可欠な熱設計。熱が機器の機能障害や安全性低下などの要因となるケースがあるので、熱設計の勘所はしっかりと押さえておきたいところだ。熱設計の基礎について、日経エレクトロニクスではこれまでに6回にわたり連載した(連載の詳細はこちら)。本稿では、この連載で出題した熱の性質を理解するための演習問題を紹介していく。第1回の今回は、多層材料の熱対策を考える。演習問題の出題者は、サーマルデザインラボ 代表取締役の国峯尚樹氏である。同氏は、技術者塾「クイズで進める やさしい熱設計講座」(詳細はこちら)で講師を務める。(記事構成は、日経BP社 電子・機械局 教育事業部)

 大きさが20mm×20mmで、A/B/Cの三つの層から成る材料を考える。上側に10Wの発熱があるとする。下側は水冷やヒートシンクで冷却されており、ここは常に20℃になっている。厚さはA層が2mm、B層が1mm、C層が3mmと、それぞれ異なる。各層で材料も違うため熱伝導率はA層が15W/(m・K)、B層が0.3W/(m・K)、C層が40W/(m・K)となっている。

 このままでは、上部の温度が100℃ぐらいになってしまう。温度を下げる対策として最も効果が高いのは、次の三つの中でどれか。

(1)一番厚いC層を半分の厚さにする
(2)熱伝導率が悪いB層の熱伝導率を2倍にする
(3)A層の厚さを半分にして熱伝導率を2倍にする

層状に構成された材料の上面(20mm×20mm)に10Wの発熱が与えられている。下面側は20℃一定に保持されている。この状態での放熱対策を考えてみる。
層状に構成された材料の上面(20mm×20mm)に10Wの発熱が与えられている。下面側は20℃一定に保持されている。この状態での放熱対策を考えてみる。