──検討に時間をかけすぎる前にまずはやってみよ、と。

伊本氏:そうです。その理由は明白。ライバル企業があるサービスを開始すると発表したら、それで勝敗が決してしまう可能性が高いからです。これまでその業界の1位の企業だったとしても、2位以下の企業に先にそのサービスを開始されたら、逆転されてしまう可能性は大いにあります。

 新しいサービスが誕生して新しい価値が生まれるとルールが変わる。IoTがグローバルでこれほど注目されているのは、この世の中のルールを変えてしまう可能性があるからです。それまで下位に甘んじていた企業が、一気にその業界のシェアを奪い取ることがあってもおかしくないのです。

 ソフトウエアの業界では、米Microsoft社やGoogle社、米Facebook社といった企業が短期間のうちにIBM社に匹敵する企業に成長しました。だからこそ、「IT革命」と言われ、「第3次産業革命」とも呼ばれたのです。産業革命ではパワーバランスが変わり、ルールが変化する。そしてその新しいルールで勝利を収めた者が、世界を主導する。このIT革命の時の状況にIoTはよく似ています。IoTを「第4次産業革命」と表現されることがあるのはそのためです。

 こう説明すると、ほとんどの日本企業がIoTについてネガティブ(消極的)に捉えてしまいます。でも、それは違います。明らかにチャンスです。なぜなら、IoTの先にはブルーオーシャン(競争のない新市場)が広がっているからです。事実、大企業でも中小企業でもIoTで急成長した企業はまだ存在していません。

 IoTですごい市場が生まれ、その中からすごい企業が生まれる可能性がある。目の前に青い海(ブルーオーシャン)が広がっているのです。まずは飛び込まないと勝ち残ることはできません。


──伊本氏のインタビュー──
[1]「製造業のIoTって何?」---理解しづらい理由
[2]「今すぐ飛び込まないと、負けますよ」---製造業のIoT対応
[3]体系的かつ体験的に学ばないと実践できない理由---製造業のIoT対応