大山鳴動して鼠1匹ならぬ、「大山鳴動してゴキブリ2万匹」とでもいったらよいのか。3万件の医薬品を総ざらいした結果、約2万件の不備が見つかった医薬品一斉点検(関連記事)。これは、容易に想像可能な範囲であったものの、医療機器業界にとってもただごとというわけにもゆくまい。それより、問題の本質はどこなのか。その勘所に迫ってみたい。

単純な推定から想像できること

 医薬品の10倍規模の品目がある医療機器について、同様の点検が実施されたらどうなるか。おそらく、医薬品よりも1桁多い問題点が出てくるだろう。

 しかし、医療機器に同様な措置が取れるはずもない。それは、非常に単純な理由だ。30万種類という品目数の膨大さは、想像を絶する。その一つひとつにぶら下がる、ドキュメント類の多様さ、複雑さを考えるだけで、ことの重大さを痛感する。その労力たるや官民双方にとっても非現実的であることも、容易に想像できる。

 しかし、このままでいいのかどうか。というよりも、どうすればよいのか、そこを考えるのが一番の勘所となる。こういう現実に直面していて、何も考えないこと自体に大きな課題が存在する。まずは、身動きがとれない状況を生み出した元凶を突き止める必要がある。