厚生労働省が2016年6月1日に発表した「医薬品の製造販売承認書と製造実態に関する一斉点検の結果」。これは、医療機器業界にとっても無縁とは思えない。

化血研問題から学ぶことを探そう

 この一斉点検は、化学及血清療法研究所(化血研)の医薬品不正製造案件に端を発したもの。国の承認と異なる方法で、長年、血液製剤を製造し市場に流通させていた問題である。

 全医薬品(3万2466品目)は、承認書の内容と製造方法の現状確認を迫られることとなった。この実態調査の結果報告が、冒頭の発表というわけだ。

 一斉点検の結果からは、全品目の7割に承認書内容の不備があることが判明した。これを受け、一部報道では「7割 法令違反」との見出しも踊った。

 ただし、決して不備を是とするわけではないが、その多くは「誤記」(1万9307件)とされている。さらには、「情報更新遅延」(5288件)と「代替試験法」(6311件)という分類項目で、申請書に相違点があったとしている。

 これを「法令違反」とする報道の表現は、それこそ誤報にも等しいと考える。そもそも、それだけの医薬品メーカーが不正を働こうとする意志を有していたとは考えにくい。このような不備を起こしてしまう仕組みの中で多くの医薬品メーカーが行動せざるを得ない状況下にあったというのが現実なのだろう。そこから医療機器業界が学ぶべきことは何なのか――。