前々回の本欄では、4カ月遅れで2014年度決算を発表した東芝について分析した(関連記事1)。2015年11月7日に同社が発表した2015年度中間決算を見る限り、業績の立て直しは予想以上に困難を伴いそうだ。

 2015年度上期には東芝以外にも電機メーカー数社が、構造改革への着手を発表した。ここでは電機大手8社の決算を整理しつつ、各社の取り組みを分析したい。

東芝は全部門で減益

 東芝の上期営業損益は、905億円の赤字。前年同期の営業利益1379億円から2284億円も悪化した厳しい内容だった。全部門とも前年同期比で減益となった。

 牽引役であるべき電子デバイス部門は、メモリー価格の下落もさることながら、ディスクリートやシステムLSI、ストレージの各分野で収益が大幅に悪化した。構造改革として、CMOSイメージセンサー事業と大分300mmラインをソニーに売却することを発表した(関連記事2)。

 第2の柱である電力・社会インフラ部門は、原子力、火力・水力、送変電・配電、太陽光発電、さらには鉄道向けシステムが軒並み減益となり、赤字を計上した。コミュニティ・ソリューション部門は東芝テックの減損(米IBM社のPOS事業を買収したToshiba Global Commerce Solutions社の減損696億円)が大きく響いたが、この特殊要因を除いても前年比で減益である。

 最大の課題は、ライフスタイル部門。パソコン、テレビ、家庭電器のすべてで赤字が拡大した。この部門の出血を止めることが、同社にとって最重要課題だろう。

会社決算資料よりIHS Technology作成
会社決算資料よりIHS Technology作成
[画像のクリックで拡大表示]