連日、日本人選手の活躍が伝えられているリオデジャネイロ五輪。リオデジャネイロ市の財政破綻や治安の悪化、ジカ熱など、開催前の不安はテレビでの熱狂を見る限り、吹き飛んでしまったかのような雰囲気さえある。しかし、実際はどうなのか。4年後を見据えて現地を視察している、ユーフォリア共同代表取締役の橋口寛氏と宮田誠氏に、前回に続いて報告してもらう。今回のテーマは、至る所で目にする「ブラジル品質」だ。

 リオ五輪の大会6日目は、「チームニッポン」にとって素晴らしい日となった。体操競技の内村航平選手が個人総合で大逆転の金メダル。柔道も男女アベックで金メダルを獲得し、男子7人制ラグビーも強豪のフランスを破って準決勝進出を決めた。

 その一方で、テレビでは伝えられていないが、1日中降り続く雨によって長らく指摘されてきた“突貫工事”の悪影響が如実に出た日となった。

1日雨模様だった、大会6日目のオリンピック公園(写真:ユーフォリア)
1日雨模様だった、大会6日目のオリンピック公園(写真:ユーフォリア)
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雨で浮き上がった公園内のコンクリートブロック。コンクリートが固まっていないため、雨が上がった翌日でも踏むと水が噴き出してくる(写真:ユーフォリア)
雨で浮き上がった公園内のコンクリートブロック。コンクリートが固まっていないため、雨が上がった翌日でも踏むと水が噴き出してくる(写真:ユーフォリア)
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 オリンピック公園内を晴れた日に歩いていると「道路の凹凸が激しいな」程度の違和感しか覚えなかったが、雨が降るとそこが水たまりとなり、コンクリートブロックが雨で浮いてくるという驚きの状況が散見された。

 公園内は雨が降ってくると、屋内でゆっくり休憩できるような場所がない。このため、トンネル内で大勢の人が雨宿りや休憩をしているという、“世界中の注目を集める晴れやかな舞台”とは好対照の光景も見られた。

トンネル内で雨宿りや休憩をする多くの観客(写真:ユーフォリア)
トンネル内で雨宿りや休憩をする多くの観客(写真:ユーフォリア)
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強度に不安感じる仮設スタンド

 オリンピック公園では至る所で「ブラジル品質」を目にする。道路や建物のタイルはボコボコ、あちこちに芝生が張られているが、赤土の上に芝生ブロックがただ置いてあるだけで、根付かずにそのまま茶色く枯れている様子が目につく。

オリンピック公園内の道路。よく見ると凸凹で塗装もはがれている(写真:ユーフォリア)
オリンピック公園内の道路。よく見ると凸凹で塗装もはがれている(写真:ユーフォリア)
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根付かず枯れた芝生ブロック(写真:ユーフォリア)
根付かず枯れた芝生ブロック(写真:ユーフォリア)
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 実は、テレビ映像では立派に見える競泳をはじめ、ラグビーやホッケーなどスタジアムのほとんどが仮設だ。仮設スタンドを五輪のデザインが施されたシートなどで覆っている。特にラグビーの会場は骨組みだけの造りのスタンドで、観客が盛り上がって飛び跳ねると大きく揺れるため、壊れないか心配になるほどだった。

テレビ映像では意外に立派に見える競泳の会場も仮設(写真:ユーフォリア)
テレビ映像では意外に立派に見える競泳の会場も仮設(写真:ユーフォリア)
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ラグビーの仮設スタンドは、観客が盛り上がって跳びはねると倒壊の危険を感じるほど(写真:ユーフォリア)
ラグビーの仮設スタンドは、観客が盛り上がって跳びはねると倒壊の危険を感じるほど(写真:ユーフォリア)
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