連日、日本人選手の活躍が伝えられているリオデジャネイロ五輪。リオデジャネイロ市の財政破綻や治安の悪化、ジカ熱など、開催前の不安はテレビでの熱狂を見る限り、吹き飛んでしまったかのような雰囲気さえある。しかし、実際はどうなのか。4年後を見据えて現地を視察している、スポーツ選手向けのコンディション管理システムを提供するユーフォリア共同代表取締役の橋口寛氏と宮田誠氏に報告してもらう。

 ブラジルは「地球の裏側」とはよく言ったもので本当に遠い。日本からUAE(アラブ首長国連邦)のドバイ経由で24時間以上もかけて、ようやくリオデジャネイロに到着した。

 ここまで時間がかかると、“時差ボケ”以前に体の疲労がとても大きいことを実感する。ここで戦う選手達は、全体的に年齢が若いとはいえ、コンディションの調整やスケジュール管理がまさにカギになると、改めて痛感した。

リオデジャネイロのアントニオ カルロス ジョビン国際空港。写真の左右にもいるが、至る所に銃を携行する軍人が警備に当たっている。天井には五輪のワールドワイドパートナーであるブリヂストンの広告がつり下げられている(写真:ユーフォリア)
リオデジャネイロのアントニオ カルロス ジョビン国際空港。写真の左右にもいるが、至る所に銃を携行する軍人が警備に当たっている。天井には五輪のワールドワイドパートナーであるブリヂストンの広告がつり下げられている(写真:ユーフォリア)
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 「リオは治安が悪い」とメディアでしきりに伝えられているが、やはり空港から異様な緊張感が走っている。普段はいない(らしい)軍隊が完全武装ですごい人数をかけて警備に当たっている。街中も、幹線道路の交差点には警察がほぼ陣取っている状態だ。

 一方で、幹線道路のすぐ横は、ファヴェーラ(スラム街)だったりして、壁を1枚を隔てた向こう側は別世界の感がある。リオでは車に乗っていても強盗に襲われるリスクがあるので気が抜けない。

空港からマラカナンスタジアムに向かう車窓から見た街の風景。壁には落書きがされている(写真:ユーフォリア)
空港からマラカナンスタジアムに向かう車窓から見た街の風景。壁には落書きがされている(写真:ユーフォリア)
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 先日、リオ市内で邦人がジョギング中に襲われる事件が発生している。ジョギングシューズは持参しているものの、街の中を走る勇気はとても湧いてこない。

競泳のチケットは1人3万円

 リオ五輪の開会式は、1950年のサッカーW杯ブラジル大会の際にオープンした、マラカナンスタジアムで催された。

 同スタジアム周辺に行ってみたが、五輪が開幕して熱狂的な雰囲気が伝わってくるというより、「静かな盛り上がり」という印象を受けた。このスタジアムの道路の向こう側にはすぐに危険が潜んでいるので、どこかに緊張感があるのかもしれない。

開会式が開催されたマラカナンスタジアム(写真:ユーフォリア)
開会式が開催されたマラカナンスタジアム(写真:ユーフォリア)
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