人の日常の活動や睡眠の状態などを自動的に記録・集計・数値化して可視化する仕組み、または可視化したデータを指す。加速度センサーなどを搭載した計測デバイス(ライフレコーダー)を用いて、人の動きを連続して収集するという手法を採ることが多い。健康状態をモニタリングして生活習慣の改善を促したり、疾病を早期に発見したりする手段になると期待されている。

 こうしたライフログを活用する時代の到来自体は、かねて予測されてきた(2008年の解説記事「『ライフ・レコーダー』の萌芽、あなたの1日を見守ります」参照)。ここにきて盛んになってきたのは、関連のデバイスやサービスを開発したり、商用化したりする動きだ。特に、リストバンド型など、小型・軽量で身体に装着して使える(ウエアラブル)ライフレコーダーの開発事例が、大手家電メーカーなどから相次いでいる。

 日立システムズとエー・アンド・デイは2013年8月、ライフログを活用したヘルスケアの分野で協業すると発表した(関連記事1)。ライフログを記録する専用端末や体組成計などの機器の設計・製造をエー・アンド・デイが、クラウド技術を利用したシステム開発や運用を日立システムズが担当する。協業の第1弾として、2013年秋から日立グループの社員数千人を対象に「生活習慣改善支援クラウド」の実証実験を開始した。メタボリックシンドローム対策のために、生活行動を自動的に数値化し、目に見える形で利用者に提供することによって生活習慣の改善を支援するシステムの実証などを行う。

 エー・アンド・デイはこの実証実験に使うリストバンド型ライフレコーダーを、2013年10月の「CEATEC JAPAN 2013」に出展した(関連記事2)。同レコーダーは軽量で時計機能を備える。データをBluetoothでスマートフォンやパソコンに送信すると、アプリケーションを通してライフログ・クラウドに蓄積される。

 2014年1月の「International CES」では、ソニーが小型で軽量のライフログ・モジュールを発表して注目を集めた(関連記事3)。同モジュールはUSBメモリほどの大きさで、リストバンド型ケースに収納することで、リストバンド型のライフレコーダーとして利用できる。2014年春に販売を始める。同モジュールはBluetoothを介してスマートフォンと接続でき、ソニーは同モジュールと連動して利用するスマートフォン向けアプリケーション・ソフトウエアも提供予定である。

ソニーが開発したライフログ・モジュール(手前)とリストバンド型端末
ソニーが開発したライフログ・モジュール(手前)とリストバンド型端末
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