米Google Inc.が2007年11月に発表した,携帯電話機向けのオープンソースのプラットフォーム。同社は,AndroidをOSやミドルウエア,アプリケーション・ソフトウエアを含む「フルセットの携帯電話機用ソフトウエア」と位置付ける。
Androidは, Linuxベースのカーネルを中心に,携帯電話機に特化した「Dalvik」と呼ぶ仮想マシンの上でアプリケーション・プログラムを実行する。すべてのアプリケーション・プログラムは対等な関係にあり,サード・パーティー製とメーカーが最初から実装したものに区別がなく,相互に呼び出し合うことができる。Androidはモジュラ構造になっていて,機能を取捨選択できる。2008年10月にソース・コードの全体像が公開され,携帯電話機以外にデジタル家電やセットトップ・ボックス,カーナビなどに適用するメーカーも出てきている。
ライセンス形態は,Linuxを採用したことから一部はGPL(GNU general public lisence)になる。ただしLinuxはカーネル部分のみで,その上で動くプログラムに関してはApacheライセンスを採用する。このため,Androidを機器に組み込んでも,ソース・コードを閲覧できるようにする義務はほとんど負わない。
Google社はAndroidの普及を図るため,2007年11月にNTTドコモやKDDI,米 Motorola,Inc.などを含む34企業が参加する業界団体「Open Handset Alliance(OHA)」を設立した。2008年12月には,ソフトバンクモバイルや日スウェーデン合弁Sony Ericsson Mobile Communications AB,東芝など14社が加わっている(参加企業の一覧)。
Androidを用いた携帯電話機の第一弾として,米T-Mobile USA,Inc.が2008年10月に台湾HTC Corp.製の「T-Mobile G1」を発売した。2008年12月にはオーストラリアKogan Technologies Pty Ltdが対応する携帯電話機「Kogan Agora」と「Kogan Agora Pro」を発表したが,「互換性や相互運用性が制限される可能性が高い」(同社)との理由から発売時期を無期限に延期した。2009年2月には,英Vodafone Group Plc.とHTC社が「HTC Magic」を発表している。
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