static random access memory

 ランダム・アクセスによる読み書きが可能なメモリ(RAM)の一種で,記憶素子としてフリップフロップ回路などの順序回路を用いるもの。記憶保持のための動作を必要としない。記憶保持のためにリフレッシュ動作が要るDRAM(Dynamic RAM)と区別して,SRAM(Static RAM)と呼ばれる。ただし,電源を切ると記憶したデータは失われる。

 一般にDRAMより高速に動作し,かつ論理LSI用のプロセスで製造できるため,論理LSIに混載するキャッシュ・メモリとして用いられる。このほか,DRAMと比べ記憶保持のための電力を抑えられる利点があるが,セル当たりの面積が大きいため集積度を高めにくい。

 近年,論理LSIの回路の微細化に伴い,安定動作するSRAMセルの開発が難しくなりつつある。設計ルールを65nm,45nm,32nmと微細化すると,フリップフロップ回路を構成するトランジスタのしきい値電圧(Vth)のバラつきが顕著になり,これがSRAMの動作不良につながるためである。

図 微細化とともにビット不良率が指数関数的に悪化
図 微細化とともにビット不良率が指数関数的に悪化(日経エレクトロニクス2006年7月17日号より抜粋,米IBM社の資料を基に本誌が作成)