電気的に内容の書き込み・消去ができる不揮発性メモリの一種。一般には読み書きにワード線,データ線,ソース線の3本の配線を用いる方式で,1セル単位での読み書きが可能である。同じフラッシュ・メモリであるNAND型は,読み書きにワード線とデータ線の2本の配線を用いる方式であり,データ線に接続された複数セルの単位でしか読み書きできない。

 NORフラッシュ・メモリの特徴は,ランダム・アクセス時間が60ns~100nsほどと短いこと。ランダム・アクセス時間が短いとマイクロプロセサから直接プログラムを読み出して実行できるため,プログラム格納用途に向く。NAND型ではランダム・アクセス時間は数μsと長く,プログラムの読み出しには向かない。

 品種によっては,8ワード~16ワードほどのデータを非同期で連続して読み出せる「ページ・モード」や,入力クロック信号に同期してデータを連続して読み出せる「バースト・モード」を備える。ページ・モードやバースト・モードを備える品種は,携帯電話機向けの1.8V品に多い。

 NORフラッシュ・メモリの課題は,書き込み速度が数百Kバイトほどと遅いこと。また,ブロック単位でデータを消去するのに0.6秒~1秒を要する。NAND型は書き込み速度が数Mバイト~10数Mバイト,ブロック消去時間は数msである。

 メモリ・セル面積は,1ビット/セル(SLC)品では8F 2~12F 2で,NAND型の4F 2~5F 2より大きい。このため,面積当たりの容量では一般にNAND型に劣る。ブロック当たりの書き換え可能回数は10万回,データ保持時間は10年間以上である。SRAMインタフェースで読み書きができるほか,汎用のシリアル・インタフェースに接続できる品種もある。