第1部
寡占を解かれた激安チップ
他媒体を次々のみ込む

データ格納用フラッシュEEPROMの応用分野が急拡大する。これまでは主にデジタル・カメラの静止画格納に使われていたが,今後は,組み込み機器のプログラム格納メモリや大容量ストレージ,さらにはコンテンツの配布媒体として採用が進む。その原動力が,メモリ・メーカー間の競争激化による急激な価格低下だ。書き込み速度を軸とした性能向上が一気に進むことも機器メーカーの決断を後押しする。

第2部
2006年に再び暴落の可能性
DRAM市況の悪化が拍車

2004年の1年間で価格が約1/3に暴落したデータ格納用フラッシュEEPROM。今後も一定以上のペースで価格下落は続く。2005年は,2004年に比べて価格の下落ペースは鈍る可能性が高い。2004年の価格低下で,メモリ・メーカー各社にさらなる価格引き下げの余力がなくなってしまったためだ。しかし,2006年には再び暴落する可能性が少なくない。かつてない大競争時代を迎えるとともに,DRAM市場の落ち込みが追い打ちをかける。

第3部
王者NANDは64Gビットへ
競合方式は高速化で対抗

NAND型フラッシュEEPROMは1チップ64Gビットの容量を射程に入れた。2010年前後に,音楽ファイルにして2000曲,DVD映像なら4時間以上を1チップに収録できる。NAND型が微細加工技術の先頭に立ち,high-k材料などの新材料を貪欲に取り入れる。一方,「高速書き込み」を武器に2つのフラッシュEEPROMがNAND型の牙城に攻め入る。ルネサス テクノロジが量産するAG—AND型と,米Spansion LLCが開発中のORNAND型である。AG—AND型は2005年に15M~20Mバイト/秒,ORNAND型は30Mバイト/秒を実現するという。
大容量化と高速化を目指した,三つどもえの大競争が始まろうとしている。