giant magnetoresistive

 磁界の変化によって電気抵抗が大きく変わるGMR素子を利用して磁気的に記録された情報を再生するヘッドのこと。ハード・ディスク装置(HDD)に記録した信号の読み出しに使う。外部磁界の変動に応じて電気抵抗が変化する「磁気抵抗効果」を利用して磁気信号を検出する。GMR素子は磁界変化が弱くても抵抗値が大きく変化するため,従来HDDで使われていたMRヘッドに比べて,ヘッドの感度が高い。

 GMRヘッドが登場したのは1998年。米IBM Corp.がデスクトップ・パソコン向けの3.5インチ型HDDにGMRヘッドを組み込んで量産を開始し,東芝もノート・パソコン向けの2.5インチ型HDDに採用した。このころの面記録密度は約3Gビット/(インチ)2だった。GMRヘッドは,当時主流だったMRヘッドより再生出力が2倍~5倍も高かった。そのため,GMRヘッドは,MRヘッドを次第に置き換えて,HDDの面記録密度向上の牽引役になった。現在のHDDもGMRヘッドを使ったものが多く,面記録密度は100Gビット/(インチ)2程度にまで達している。ただし,これ以上の高密度化には新技術の導入が必要との意見が多く,HDDの再生ヘッドはGMRヘッドからTMRヘッドに移行しつつある。

図 GMRヘッドの構造
図 GMRヘッドの構造 (日経エレクトロニクス1998年1月5日号より抜粋)