「200Gビット/(インチ)2に必要といわれる特性を実現した。さらに改良すれば500Gビット/(インチ)2も夢ではない」(産業技術総合研究所 エレクトロニクス研究部門 研究グループ長の湯浅新治氏)--。

 ハード・ディスク装置(HDD)の将来に明るい光が差してきた。今後何年かは1年で30%程度の面記録密度の伸びを維持できそうだ。

 2005年4月,米Hitachi Global Storage Technologies,Inc.(HGST社)は,面記録密度を230Gビット/(インチ)2に高めたHDDを2007年にも実用化すると表明した。現時点の製品で最も高い面記録密度は,東芝が近々量産を始める1.8インチ型の133Gビット/(インチ)2である。今後年率30%増で面記録密度が増えるとすると,ちょうど2年余りで230Gビット/(インチ)2に到達する。その後も伸び率が変わらなければ,2010年には500Gビット/(インチ)2になる計算だ。ディスク1枚の記録容量が3.5インチ型HDDで750Gバイトに,1インチ型でも60Gバイトに達する数値である。

 こうした将来を思い描けるようになったのは,しばらく不透明だったHDDの技術開発の方向性が鮮明になりつつあるからだ。