wideband-CDMA with high speed downlink packet access

 3Gの一方式であるW-CDMAをベースに,適応変調(adaptive modulation)を取り入れ,高速データ通信に特化した下り専用の仕様。5MHzの帯域幅を使って,最大データ伝送速度は下り14.4Mビット/秒となる。100Mビット/秒以上を目指す「第4世代」へのつなぎという意味で「3.5G」と呼ぶこともある。仕様は第3世代移動体通信システムの規格化団体「3GPP」が策定した。日本では,NTTドコモが2005年中にサービスを開始する予定。

 高速化に向けて,限られた周波数帯域の有効活用に向けた大きく3つの工夫を施した。1つは伝送路の状況に応じて変調方式を変える適応変調技術の採用である。BPSKやQPSKに加えて,伝送路環境が良好なら16値QAMという多値変調が利用できる。第2が適応スケジューリングである。チャンネルを共有するユーザーの中から受信状態の良いユーザーへのデータ伝送を優先しながら,平均では公平になるようなスケジューリングを行う。第3が,ハイブリッドARQである。再送信に,過去に送信されたデータを組み合わせて復号することで,受信特性の向上を図る。

 なお,NTTドコモは,2004年5月末に開催された国際会議「International Conference on Beyond 3G Mobile Communications-2004」(ICB3G-2004)で2010年までに「Super3G」と呼ぶ無線ネットワークを4Gに先行して導入するというシナリオを明らかにしている(図)。Super3Gは「限りなく第4世代に近いという意味で,第3.9世代と言い換えてもよい。OFDMなど,第4世代向け無線技術を先取りする」(同社)。具体的な方式は現在検討中だが,速度は最大100Mビット/秒弱,遅延時間は現行の約10msに対して,0.5ms以下を目指す。

第4世代の技術を先行導入する「Super 3G」
図 第4世代の技術を先行導入する「Super 3G」
無線部分については,VSF-OFCDMなど第4世代移動体通信(4G)の候補となっている技術を先に導入して,4Gへの円滑な移行を目指す。幹線ネットワークでは,ハンドオーバーを含むすべての処理をIPネットワーク上で行う方針とする。日経エレクトロニクス2004年6月21日号より抜粋)