トヨタ自動車は2015年6月3日、米Ford Motor社とその子会社の米Livio社が開発した「スマートデバイスリンク(SDL)」を自社の車に導入するため、Ford社と検討に入ることで合意したと発表した。SDLは、車載器とスマートフォンを連携させるプラットフォームである。

 トヨタとFord社は2011年8月、ピックアップトラックなどに向けたハイブリッド車技術と車載テレマティクス技術の開発で協業すると発表したが、2013年7月にハイブリッド車技術についての基本合意は撤回した。車載テレマティクスについてはその後も協議を続けてきた。そしてFord社は2013年9月、ソフトウエア開発会社のLivio社を買収している。

 SDLの特徴はアプリケーションの開発においてオープンソースであることだが、トヨタのプレスリリースではSDLの技術的な詳細は公表していない。ただ、今回の発表が6月1~2日に東京で行われたLinux Foundation主催の「Automotive Linux Summit 2015」で初公開されたLinuxベースの車載システム用ソフトウエア「AGL(Automotive Grade Linux)」の要求仕様書「Requirement Specification1.0」と連動していることは明らかだ(関連記事)。ただし、Automotive Linux Summitの会場でトヨタが展示したAGLのコンセプトに基づく試験機では、スマートフォンの連携のデモンストレーションは行っていない。

 Automotive Linux Summitではトヨタの情報電子システム開発部・第1電子先行開発室・主査の村田賢一氏が基調講演を行っている(図1)。村田氏は2015年4月に新設された、テレマティクス分野における総括的な戦略を構築するBRコネクテッド戦略企画室長を兼務する。

図1 基調講演するトヨタの村田賢一氏。
図1 基調講演するトヨタの村田賢一氏。
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