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 シャープは、結晶Si型太陽電池セルのセル変換効率を、25.1%に高めたことを明らかにした。パナソニックが2014年4月10日に発表した同25.6%に次ぐ記録である(関連記事)。

 結晶Si型太陽電池のセル変換効率を巡っては、長い間、1999年3月にオーストラリアUniversity of New South Wales(UNSW)が達成した25.0%が最高だった。今回、ほぼ同時期に、パナソニックとシャープが25%を超えてきた。

 シャープが用いたセルは、パナソニックと同様に、Si基板にアモルファスSi層を形成する「ヘテロ接合」と、電極を裏面のみに形成する「バックコンタクト構造」を組み合わせたものである。アモルファスSi層の効果でSi基板表面でのキャリア再結合を抑制するとともに、受光面から電極をなくしてセルに入射する光を増やした。なお、シャープとパナソニックのどちらも、現時点で同構造のセルの量産時期は決まっていないとする。

 シャープは既に、バックコンタクト構造を製品に適用済みである。これにヘテロ接合を組み合わせた研究成果は、2012年12月の国内の展示会で初めて公表した(関連記事)。当時のセル変換効率は21.7%と低かった。2013年2月には同22.3%へ、さらに2013年7月には24.2%、2013年10月に24.7%、2014年2月に24.9%と、確実に高めてきた。そして2014年4月に、25.1%を達成したことを明らかにした。

 変換効率25.1%を達成したセルの短絡電流密度は41.7mA/cm2、開放電圧は736mV、曲線因子は81.9%、測定部分の面積は3.72cm2である。測定は電気安全環境研究所(JET)で実施した。

 なお今回の研究成果は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)委託研究である「極限シリコン結晶太陽電池の研究開発」プロジェクトの一環として、豊田工業大学と共に実施したものである(関連記事)。