セル変換効率25.6%
セル変換効率25.6%
[画像のクリックで拡大表示]
セル構造を刷新
セル構造を刷新
[画像のクリックで拡大表示]
産総研での測定結果
産総研での測定結果
[画像のクリックで拡大表示]

 パナソニックは、結晶Si型太陽電池のセル変換効率の最高値を15年ぶりに塗り替えて25.6%とした。測定は産業技術総合研究所で実施した。これまでの最高値は、1999年3月にオーストラリアUniversity of New South Wales(UNSW)が達成した25.0%だった。

 UNSWの記録は、面積が4cm2と小さなセルでの結果だった。これに対してパナソニックは、143.7cm2と実用サイズのセルで実現した点で大きく異なる。面積100cm2以上の結晶Si型太陽電池としては、パナソニックが2013年2月に発表した24.7%(面積101.8cm2)が、これまでの最高値だった(Tech-On!関連記事)。

 パナソニックは今回、変換効率を高めるために、従来の構造を大きく見直すことを決断した。これまで同社は、三洋電機時代から続くセル構造を継承してきた。Siウエハーの受光面と裏面にアモルファスSi層を形成する「ヘテロ接合」を採用し、受光面と裏面に電極を配していた。

 それを今回は、ヘテロ接合を裏面に残しながら、受光面から電極をなくすバックコンタクト構造を取り入れた。バックコンタクトでは、入射光が受光面の電極で遮られることがないため、電流量を増やすことができる。実際に短絡電流密度は、同社が2013年2月に発表した39.5mA/cm2から41.8mA/cm2に高まった。

 一方で、受光面からアモルファスSi層がなくなったためか、セル厚さが変更になったためか、キャリアの再結合損失が影響する開放電圧が0.75Vから0.74Vへ低下した。曲線因子も0.832から0.827へと低下している。<次のページに続く>