シスコシステムズが描く「HoT」のポートフォリオの例
シスコシステムズが描く「HoT」のポートフォリオの例
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 モノのインターネット、いわゆるIoT(Internet of Things)によるイノベーションが期待されている分野の一つがヘルスケアである。シスコシステムズは、2014年1月16日に開催した地域医療連携に向けた新製品「Cisco HealthPresence 2.5」の発表記者会見(関連記事)で、ネットワークを利用したヘルスケアの変革に向けて、「HoT(Healthcare of Things)」という言葉を提唱していく考えを示した。

 シスコシステムズは、例えば医療分野では今後、対面での医療に加えて遠隔でのコミュニケーションをどう図るかが課題であると位置付ける。同社が2013年に実施した調査(10カ国、1547人を対象)では、「患者の3/4は、医師と直接対面する代わりにテクノロジーを使って医師とコミュニケーションを図ることをいとわない」「60%を超えるドイツ、日本、米国の患者は、仮想テクノロジーを使って専門家の治療を受けることをいとわない」という結果が出たという。

 そこでシスコシステムズは、医療機関向けとしては次の五つの視点からのソリューション提供を進めていくとする。

(1)「医用画像管理」(Connected Imaging Solutions)
 医用画像の共有環境を実現し、生産性を向上。ストレージアクセス環境とストレージ本体の統合化によるコスト最適、運用簡素化を実現する。

(2)「遠隔医療・相談」(Care-at-a-Distance Solutions)
 遠隔地や物理的な場所を超えてface-to-faceのコミュニケーションを実現。今回発表したCisco HealthPresence 2.5も、この領域のソリューションである。

(3)「業務の効率化」(Clinical Workflow Solutions)
 ワークフローを最適化し、医療従事者間のコミュニケーションや情報共有を向上する。

(4)「救急・災害医療」(Emergency Disaster Medical Care)
 救急搬送時の救急車とドクター間の情報共有とコミュニケーションを実現。災害発生時の広域災害救急医療情報ネットワークを実現する。

(5)「インターネット接続」(Medical Grade Network Foundations)
 信頼性や規制遵守(セキュリティー)を可能にするエンド・ツー・エンドのヘルスケアITインフラソリューションを提供する。

 シスコシステムズは、これら医療機関向けのソリューションだけではなく、健診支援システムや介護支援システムなどのソリューションも提供していくことで、ネットワークによる医療・健康・福祉のシームレスな世界の実現を目指す考えだ。