右が中西氏、中央が東原氏
右が中西氏、中央が東原氏
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 日立製作所は2014年1月8日、東京都内で記者会見を開催し、執行役社長の中西宏明氏に代わり執行役専務の東原敏昭氏が同年4月1日付で執行役社長兼COOに就任する人事を発表した(関連記事)。この会見の質疑応答で、同社が強化を目指すヘルスケア事業について両氏がそれぞれ言及した。

 同社は2013年10月、中西氏を本部長とするヘルスケア事業戦略本部を新設。ヘルスケア分野を注力事業として強化する戦略を打ち出したばかり。さらに同年11月には、この戦略を実行するために日立メディコを完全子会社にすることも発表している(関連記事)

 こうしたヘルスケア事業の強化路線を踏まえ、筆者は今後のヘルスケア事業の方向性やM&Aの可能性などについて聞いた。これに対する中西氏と東原氏のコメントは次の通り。

中西氏
「これまで日立メディコが中心となって手掛けてきた医療事業をベースに、さらに事業の範囲を広げいくというのがポイントだ。これからは、さまざまなITツールの上で医療情報が扱われるようになるため、(医療の範囲が)広がっていく。そこに、新たなビジネスの可能性があると考えている。それに向けて、IT技術を持つ日立製作所と日立メディコが一体になって動いていくことで、ビジネスチャンスをつかんでいきたい。そういった方向性で事業の範囲を広げていくための諸施策が、これから打たれていくだろう。乞うご期待ということだ」

東原氏
「ヘルスケア事業は大きく三つに分けて考えている。まずは、予防医療のビジネス、そして画像診断装置などの診断のジャンル、最後に粒子線治療装置をはじめとする治療の分野である。このうち予防医療であれば、IT技術やビッグデータなどの技術を使ったアプローチがより重要になる。治療であれば、それに応じた技術が必要になる。この三つのジャンル全体を見渡して、日立製作所として今後、どこに力点を置いて取り組んでいくのかということ次第でM&A(の有無や対象)が決まってくるし、そのタイミングも決まっていくのだと思う。総合的に物事を見て、意思決定していきたいと考えている」