ルネサス エレクトロニクスは、パワー・フォーマット「CPF:Common Power Format」を活用することで、マイコンの低電力設計を円滑に進めている。パワー・フォーマットは、各種低電力化技術を設計に取り込むためのデータ形式である(Tech-On! 改訂版EDA用語辞典)。

図1●講演する江崎尚英氏 日本ケイデンス・デザイン・システムズが撮影。スクリーンはルネサスのスライド。
図1●講演する江崎尚英氏
日本ケイデンス・デザイン・システムズが撮影。スクリーンはルネサスのスライド。
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図2●多電源ハードマクロ ルネサスのスライド。
図2●多電源ハードマクロ
ルネサスのスライド。
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図3●CPFマクロモデルの効用 上が同モデルなし。下があり。ルネサスのスライド。
図3●CPFマクロモデルの効用
上が同モデルなし。下があり。ルネサスのスライド。
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 同社は、今回の件について、「CDNLive Japan 2013」(日本ケイデンス・デザイン・システムズ社とイノテックが、2013年7月19日に横浜市で開催)で講演している。登壇したのは、同社の江崎尚英氏(第一事業本部システムインテグレーション事業統括部デザインオートメーション部 技師)である(図1)。ルネサス(当時はNECエレクトロニクス)はCPFの策定時からかかわるなど(Tech-On!関連記事)、長くCPFを活用してきた。

複雑な「多電源マクロ」にCPFを適用

 これまでCPFの適用はASICなどで多く、その際には、アイソレーション・セルやレベル・シフター、レギュレータ、電源オン/オフ・スイッチといった低電力設計向けの部品/回路は、ハードマクロの外側にあることが一般的だった。一方、マイコンの場合、多品種を短時間に設計することが重要なため、ハードマクロが大規模になることが多く、その結果として低電力設計向けの部品/回路はハードマクロ内部に含まれる。

 内部に低電力設計向けの回路/部品を含む複雑なハードマクロを「多電源ハードマクロ」と呼び(図2)、今回その多電源ハードマクロの低電力設計情報を「CPFのマクロモデル」として定義した。このCPFのマクロモデルをチップ・レベルの低電力設計で利用することで、例えば、低電力部品/回路の重複や欠損を防ぐことが可能になり(図3)、低電力設計が最適化すると共にその設計の検証の確度も向上する。