図1 シャープの奥田氏
図1 シャープの奥田氏
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図2 決算の概要(シャープの資料)
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図3 部門別の売上高(シャープの資料)
図3 部門別の売上高(シャープの資料)
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図4 部門別の営業損益(シャープの資料)
図4 部門別の営業損益(シャープの資料)
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 シャープは2012年8月2日、2012年度第1四半期(2012年4~6月)の連結決算を発表した(PDF形式の発表資料)。売上高は前年同期比28.4%減の4586億円、営業損益は前年同期の35億円の黒字から941億円の赤字に転落した。純損益は、1384億円の赤字(前年同期は492億円の赤字)だった。すべての項目で、「前年同期から大幅に悪化した」(同社 代表取締役社長の奥田隆司氏)。液晶テレビの販売不振や液晶パネル事業の赤字が拡大したことが影響した。

 決算発表に併せて、2012年度通期の業績予想を下方修正した。売上高は、2012年4月27日発表の前回予想から2000億円減の2兆5000億円になる見通し。営業損益は200億円の黒字から1000億円の赤字に、純損益は300億円の赤字から2500億円の赤字に、それぞれ修正した。業績回復に向け、約5000人の人員削減を含めた構造改革も発表された(Tech-On!の続報)。

テレビとケータイが大幅減

 部門別の業績を見ると、液晶テレビや携帯電話機などの「AV・通信機器」は、売上高が前年同期比54.9%減の1341億円、営業損益が75億円の黒字から202億円の赤字となった。液晶テレビの販売台数は166万台と、前年同期の329万台から半減した。「中国での販売低迷や、国内での大幅な需要減少が響いた」(シャープの奥田氏)。携帯電話機の販売台数は77万台と、前年同期の210万台から約1/3に落ち込んだ。「海外メーカーとの競争激化や米Qualcomm社のチップ供給不足により、販売台数が減少した」(同氏)という。2012年度通期における販売台数は、液晶テレビが800万台、携帯電話機が630万台を見込む。

 白物家電などの「健康・環境機器」は、海外で冷蔵庫やエアコンなどの販売が好調に推移した結果、売上高が前年同期比5.3%増の782億円、営業利益が同22.7%増の82億円となった。複合機などの「情報機器」は、景気の不透明感による投資抑制の影響を受け、売上高が同2.1%減の647億円、営業利益が同60.0%減の23億円となった。

液晶も不振

 電子部品に目を向けると、主力の「液晶」は売上高が前年同期比22.4%減の1459億円、営業損益は634億円の赤字となった(前年同期は46億円の赤字)。大型液晶パネル事業では在庫調整のために堺工場の稼働を調整した他、中小型パネル事業では「大手ユーザーからの受注がずれ込み工場の稼働率が低下した」(シャープの奥田氏)という。

 「太陽電池」は、売上高が前年同期比18.2%減の419億円、営業損益は69億円の赤字(前年同期は37億円の赤字)である。海外での事業環境の悪化や、国内での競争激化が影響したという。「その他の電子デバイス」は、売上高が同4.2%増の474億円、営業利益は前年同期の4億円の黒字から50億円の赤字に転落した。