図1 シャープの奥田氏
図1 シャープの奥田氏
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 シャープは、今後の業績改善に向けた構造改革を発表した(Tech-On!の第1報)。新たな成長に向けて、(1)事業グループの再編、(2)事業所体制の見直し、(3)本社のスリム化、(4)人員のスリム化を進める。「断腸の思いだが、今やらなければ次のシャープの成長はないという不退転の決意でやりきっていく」(同社 代表取締役社長の奥田隆司氏)。

 (1)の事業グループの再編は、事業本部を大きく四つの事業グループに集約・再編する。具体的には、テレビや携帯電話機などの「デジタル情報家電」、白物家電や太陽電池などの「健康環境・エネルギー」、業務用機器などの「ビジネスソリューション」、液晶などの「デバイス」の四つである。デジタル情報家電では、「本部を奈良に集約することで『Beyondテレビ』『Beyondスマホ』『Beyond PC』といった新たしいモノを作っていく」(シャープの奥田氏)。健康環境・エネルギーでは、「PCI(プラズマクラスターイオン)・LED事業本部の新設によるBtoB事業の拡大や、省エネ、創エネ、蓄エネ、制エネの取り組みによる川上事業への拡大を図っていく」(同氏)という。

 (2)の事業所体制の見直しでは、液晶テレビなどを手掛けていた栃木工場と太陽電池を手掛けていた葛城工場の規模を「順次縮小していく」(シャープの奥田氏)。(3)の本社のスリム化では、「現在16ある部門を9部門に減らしていく他、事業戦略を担う機能を強化していく」(同氏)という。

 (4)の人員のスリム化は、シャープにとって「62年振り」(奥田氏)となる人員削減を実施する。2012年末時点で5万6756人という連結社員数を、2013年3月末までに約5000人削減して約5万1700人にする。「(定年退職に伴う)自然減や(堺工場が連結対象外になる)オフバランスに加えて、希望退職を実施する。オフバランスによる人員減は約1300人になるため、自然減と希望退職で残りの約3700人の人員削減を実施する」(同氏)。自然減は「数百人程度」(同氏)という。希望退職については、「これから労働組合と具体策について協議していく」(同氏)。