アナログ エレクトロニクスを支える基盤技術
 

【デジタル電源・座談会(下)】まだまだ黎明期、電源技術者が主導権を握る絶好の機会に

2012/01/30 08:00
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 デジタル制御電源のエキスパート3名をお招きした座談会も今回で最終回(第1回目はこちら、第2回目はこちら)。出席者はベルニクス 代表取締役社長の鈴木正太郎氏、TDKラムダ 取締役 チーフ・テクノロジー・オフィサーの前山繁隆氏、日本テキサス・インスツルメンツ(TI) 営業・技術本部 応用技術部の財津俊行氏。(司会:山下勝己=テクニカル・ライター)

デジタル制御電源は誰が設計すべきか?

――これまで電源の開発は、アナログ・エンジニアの仕事でした。しかし、デジタル制御電源になると、ソフトウエアを開発する必要があります。このソフトウエアは、電源に詳しいアナログ・エンジニアが開発すべきなのか、それとも電源の知識は乏しいが、ソフトウエアには詳しいエンジニアがすべきなのか。どちらなのでしょうか?

タイトル
TDKラムダの前山氏(左)

前山 先ほど紹介した電気自動車やハイブリッド車の例では、CANというデジタル・インタフェースを介して、いろいろな制御を実行します。例えば、充電器であれば、出力を定電流モードにしたり、定電圧モードにしたり、定電力モードにしたり、かなり複雑な制御が求められます。

 これらに対応するには、アナログ制御電源では無理です。そこでデジタル制御電源を採用しているのですが、現在、当社内で問題になっているのは仕事の切り分けです。例えば、家電メーカーであれば、設計を担当する組織の中に、ハードウエア設計部隊とソフトウエア設計部隊のほか、その上位にシステム設計を担当する部隊を置いています。システム設計部隊は、ソフトウエアで実現するのはこの部分、ハードウエアはこの部分と決めて、それぞれの仕様書を記述します。きちんと書類として仕様書を起こして、ソフトウエアとハードウエアの設計部隊に依頼をかける。ところが電源の開発は、まだそこまで到達していません。極端な言い方ですが、一人のエンジニアがハードウエアとソフトウエアの両方を理解していないと、デジタル制御電源を設計できないという状況にあります。

 しかし、こうした優秀なエンジニアは決して多くない。当社(TDKラムダ)には、まだ数えるぐらいしかいません。今後、こういうエンジニアを増やしていかないと、デジタル制御の良さを生かした電源を世に送りだせないのではないかと思います。

財津 確かに、電源メーカーの中にソフトウエア開発が得意な人は少ないですね。それは日本だけでなく、世界共通です。米国も、欧州も、韓国も、みんな同じです。モーターやUPS(無停電電源装置)の業界には結構いるのですが、スイッチング電源やDC-DCコンバータの業界は少ないですね。

 この問題がデジタル制御電源の普及を妨げているのかもしれません。ハードウエア・エンジニアにとって、ソフトウエア開発は敷居が高いですから。前山さんが指摘されたように、ハードウエア・エンジニアは今まさに、パラダイム・チェンジを求められているわけです。

前山 5年前まで、電源メーカーにソフトウエア・エンジニアは不要でしたからね。

財津 でも、海外の電源メーカーはすでに動き始めている。例えば、台湾のある大手電源メーカーは、ソフトウエア・エンジニアをきっちり採用している。

前山 台湾の電源メーカーに関して言えば、中国の大学とも密に連携を取って、電源の分かるソフトウエア・エンジニアを育成していると聞いています。

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