図1 シャープの液晶テレビ「フリースタイル AQUOS F5」。発表では、表示部を持ち運んで軽さをアピールしていた。蓄電池で駆動しているが、実際の製品には同梱しておらず、「製品化を検討中」(シャープ)という
図1 シャープの液晶テレビ「フリースタイル AQUOS F5」。発表では、表示部を持ち運んで軽さをアピールしていた。蓄電池で駆動しているが、実際の製品には同梱しておらず、「製品化を検討中」(シャープ)という
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図2 シャープが想定する利用イメージ
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図3 フリースタイル AQUOS F5の表示部の内部構成
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図4 従来品の内部構成
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 シャープは2011年8月25日、「壁掛け」や「壁寄せ」といった自由なレイアウトが可能な液晶テレビ「フリースタイル AQUOS F5」を発表した(ニュース・リリース)。画面寸法は60型と40型、32型と20型の4種類。32型以上の機種には、一般的なスタンドに加えて、壁掛け用の「壁掛けスリム金具」を同梱する。「AQUOSの第2章の幕開けとして、放送を見るだけのこれまでのテレビから、フリー・スタイルという新しい価値を提案していく」(同社 執行役員 AVシステム事業統轄 兼 AVシステム事業本部長の中村恒夫氏)とする。

 開発品は、表示部とチューナー部が分離した構成を採る。表示部の重さは、60型品が約21kg、40型品が約8.5kg、32型品が約5.5kg、20型品が約2.5kgである。32型品の従来機種「LC-32E9」は、重さが約8.9kgであったため、約4割軽くなった。液晶テレビと液晶パネル・モジュールの筐体ベゼルなどを一体化した他、その材料にAl合金を採用するなどして軽量化を図った。「パネルからテレビまでの製造を一貫して手掛ける垂直統合モデルの強みが出た」(シャープ AVシステム事業本部 液晶デジタルシステム第1事業部長の喜多村和洋氏)とする。液晶パネル・モジュールには、エッジライト方式のLEDバックライトを採用するなど、表示部の薄型化も図った。

 表示部とチューナー部の間の映像伝送には、無線LAN規格「IEEE802.11n/a(5GHz帯)」を採用した。利用可能なチャネル数は19であるため、「1部屋に開発品を10台設置しても、問題なく映像を伝送できる」(シャープ AVシステム事業本部 液晶デジタルシステム第1事業部長の喜多村和洋氏)という。チューナー部にはデジタル放送の入力端子だけでなく、USB端子、Ethernet端子を備えるため、外付けHDDにデジタル放送を録画できる他、インターネット接続も可能になる。

 シャープは2008年に、表示部とチューナー部を分離し、映像を無線伝送する液晶テレビを製品化していた(Tech-On!の関連記事1関連記事2)。当時との違いについて、「家庭での“空間作り”がよりオープンなものになっており、自由なレイアウトを求めるユーザーが多くなった」(同社 オンリーワン商品・デザイン本部長 兼 ブランド戦略推進本部長の岡田圭子氏)とする。技術面でも、「ネットワークとワイヤレス(無線)、LEDバックライト、軽量化などの技術開発が進んだ」(同社の中村氏)という。

 40型品と32型品は2011年9月15日、60型品と20型品は同年10月28日に発売する。市場想定価格は60型品が38万円前後、40型品が15万円前後、32型品が11万円前後、20型品が8万円前後とする。AQUOS全体に占める販売構成比として、「2011年度下期が10%、2012年度が30%を目指す」(シャープの中村氏)。