図1 日立製作所 執行役副社長の三好崇司氏
図1 日立製作所 執行役副社長の三好崇司氏
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図2 事業部門別の売上高
図2 事業部門別の売上高
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図3 2011年3月期通期の業績予想を上方修正した
図3 2011年3月期通期の業績予想を上方修正した
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 日立製作所は2010年11月2日,同年4~9月期の連結決算を発表した(発表資料)。売上高は対前年同期比9.2%増の4兆5024億円,営業損益は2180億円の黒字(前年同期は247億円の赤字)に転換した。当期純利益も1580億円と,1332億円の赤字を計上した前年同期から立て直した。自動車やエレクトロニクス関連が好調だった。会見した同社 執行役副社長の三好崇司氏は「上期は想定以上に需要が強かった」と振り返った(図1)。

 海外を中心に売り上げが伸びた。海外売上高は前年同期比16%増と,国内売上高の同4%増を大きく上回る結果となった。特に,中国を中心とするアジア市場が伸張。中国市場は建設機械や自動車関連など幅広い事業が好調で,同31%増を記録した。海外売上高比率は44%と,前年同期から3ポイント上昇した。

 事業構造改革の進展や原価低減,固定費の抑制の効果あり,11ある事業分野のすべてで営業利益が改善した。売上高を分野別にみると,建設機械事業や高機能材料事業,オートモーティブシステム事業が前年同期を20%以上,上回る結果となった(図2)。

 今後の主要事業として位置付ける,情報・通信システム事業や電力システム事業の売上高は前年同期を下回った。同社は,「社会インフラ+ITの融合」と「材料・キーデバイス」から成る「社会イノベーション事業」と呼ぶ事業領域の取り組みを強化しており,会見の席でも「今後も注力していく」(三池氏)と強調した。こうした事業改革の一環で,子会社である日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)の新規株式公開に向けた準備を始めた( Tech-On! 関連記事)。

 日立製作所は第2四半期の業績を受け,2011年3月期通期の業績予想を修正した(図3)。売上高は9兆2000億円から9兆3000億円へ,営業利益は3400億円から4100億円へ,当期純利益は1300億円から2000億円へとそれぞれ上方修正した。

 ただ,三好氏は「各国で経済政策効果が一巡し,新興国ではインフレ懸念が,そして国内では円高などから不透明感が増してきている」と下期に対する慎重な見方も示した。中国による輸出規制によって調達不安が高まっているレアアースやレアメタルに関しては,「2011年3月期は影響はない」(同氏)とした。調達本部に状況を把握する部隊を設置し,対策を進めているという。