図1 「FinePix REAL 3D W3」。外形寸法は124mm×65.9mm×27.8mmで質量は250gである。レンズ間距離であるステレオベースは75mm
図1 「FinePix REAL 3D W3」。外形寸法は124mm×65.9mm×27.8mmで質量は250gである。レンズ間距離であるステレオベースは75mm
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図2 CMキャラクターは佐々木希さんを起用
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図3 内部の部品構成。二つのカメラ・モジュールの位置関係をずらさないために内蔵するフレームは,Alダイカスト製からステンレス製に変更した
図3 内部の部品構成。二つのカメラ・モジュールの位置関係をずらさないために内蔵するフレームは,Alダイカスト製からステンレス製に変更した
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図4 レンズは新規に開発した。強い光によって画像の一部が白っぽくなったり明るい輪ができたりするフレアを抑えた
図4 レンズは新規に開発した。強い光によって画像の一部が白っぽくなったり明るい輪ができたりするフレアを抑えた
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図5 専用メガネ不要で,その場で立体感を確認できる
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図6 側面にHDMIの「TypeC」コネクタを備えた
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図7 富士フイルム 代表取締役社長の古森重隆氏
図7 富士フイルム 代表取締役社長の古森重隆氏
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図8 3D対応のテレビやパソコンは2010年には400万台,2013年には6000万台に達すると予測
図8 3D対応のテレビやパソコンは2010年には400万台,2013年には6000万台に達すると予測
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 富士フイルムは2010年8月17日,3次元(3D)で静止画や動画を撮影できるデジタル・カメラ「FinePix REAL 3D W3」を発表した(図1,2,発表資料)。2009年8月に発売した3Dカメラ「FinePix REAL 3D W1」の後継機にあたる( Tech-On! 関連記事)。同年9月4日に販売を開始する。価格はオープンで,想定実売価格は4万8000円前後。約6万円だったFinePix REAL 3D W1から価格を1万円以上抑えた。


 撮影機能や構成部品はW1を踏襲した(図3)。光学3倍ズームのレンズを二つ搭載し,これを別々の撮像素子(1/2.3型で1000万画素のCCD)で同時に記録する(図4)。撮影した3D画像は,3D表示に対応した背面の液晶ディスプレイで確認できる(図5)。専用メガネは不要だ。もちろん,モードを切り替えれば通常の2Dで静止画や動画を撮影することも可能である。

クロストークを1/10に低減



 今回の機種は,HD動画に対応したことが大きな特徴である。最大で720pで24フレーム/秒の3D動画を撮影できる。従来機ではVGA(640×480画素)だった。動画の信号処理能力を2.4倍にした画像処理エンジンを新たに開発したことで実現したとする。「これまでのエンジンでは処理速度が遅く,HD動画は無理だった」(同社)という。なお,3D動画の撮影中はズーム機能は働かなくなる。

 撮影した3Dの静止画や動画は,HDMIケーブルで3D対応のテレビに接続するだけで楽しむことができる。Ver.1.4に対応したHDMI端子を,筐体側面に1系統装備した(図6)。パソコンとは,USB2.0端子で接続してデータを伝送する。


 液晶ディスプレイの表示性能も大きく向上させた。約115万画素で3.5型品を搭載し,従来機の約23万画素で2.8型品から大型・高精細化した。表示方式をカマボコ形のレンズを並べたシートを利用する「レンチキュラ」方式に変更することで,左目用と右目用の映像が交ざり合う「クロストーク」の発生を10分の1に低減させた。これまでは,左目と右目に届く光の方向を高速に制御し,両目にそれぞれ別の画像を投影する「ライトディレクションコントロールシステム」を採用していた。さらに,明るさを従来比約1.5倍,色再現性を従来比約1.8倍に向上させている。

「3Dカメラの市場を創る」



 FinePix REAL 3D W3の販売台数目標は全世界で年間40万台。FinePix REAL 3D W1の販売台数の実績は「目標の10万台の目標を少しショートした」(同社取締役常務執行役員 電子映像事業部長の樋口武氏)という。

 代表取締役社長の古森重隆氏は「3D画像は迫力と臨場感で大きな話題を呼んでおり,世界的に3D画像を見る環境が整ってきている。その一方で撮る環境が不足しており,この動きを絶好の機会だと捉えて3Dカメラの市場を創っていく」と意気込みを示した(図7)。同社は,2013年には3Dに対応したテレビやパソコンが6000万台以上になると予測しており「そのうち10%くらいのユーザーは3Dデジタル・カメラを購入していただけるのではないか」(樋口氏)とみる(図8)。