大阪市内で3社は緊急共同会見を開催
大阪市内で3社は緊急共同会見を開催
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パナソニック 代表取締役社長の大坪文雄氏
パナソニック 代表取締役社長の大坪文雄氏
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パナソニック電工 代表取締役社長の長榮周作氏
パナソニック電工 代表取締役社長の長榮周作氏
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三洋電機 代表取締役社長の佐野精一郎氏
三洋電機 代表取締役社長の佐野精一郎氏
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今後のスケジュール
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 パナソニックは2010年7月29日,グループ会社のパナソニック電工と三洋電機を完全子会社化すると発表した( Tech-On! 関連記事)。発表を受け,3社は緊急共同会見を開催した。

 以下,記者会見における質疑応答の概要を記す。回答者は,パナソニック 代表取締役社長の大坪文雄氏,パナソニック電工 代表取締役社長の長榮周作氏,三洋電機 代表取締役社長の佐野精一郎氏の3氏である。

――パナソニック電工と三洋電機の完全子会社化を決めた時期や,このタイミングで発表した理由は。

大坪氏 長榮氏と佐野氏の両社長には,(2010年6月25日に開催したパナソニックの)定時株主総会後に完全子会社化について話をした。その場で両氏からはきわめて前向きな返答をもらった。そして,7月に入って具体的な検討を始めた。

 グローバルな市場を見れば見るほど,あるいは競争相手を見れば見るほど我々が想像する以上のスピードで世界は猛烈な競争,成長,革新を進めている。これまでのような3社の連携ではとても勝てないと実感した。比喩的に表現すると,世界の競合他社は自らの目標を定めて,100m走のスピードで事業拡大,そして成長にチャレンジしている。その時に我々はひょっとすると中距離走のスピードで,短距離走をしている他社と戦おうとしているのでは,と強く感じた。このため,完全子会社化によってスピードアップを図るべきだと判断したわけだ。

 事業の再編や整理の具体的な内容については,これからワーキング・グループを結成して詳細を決めていく。

――ブランドは原則「Panasonic」に統一する。これまでは「SANYO」を当面存続させると示唆してきたが,今回のような判断を下したのはなぜか。

大坪氏 私自身は当初から,将来的には「Panasonic」に統一すると一貫して説明してきたと思っている。その中で,三洋電機の事業や市場という観点でブランドの価値を見ていくと,一部の地域や商品で三洋電機のブランド・イメージが非常に高い。今回改めて事業を再編するにあたって,強い地域・強い商品についてはSANYOブランドでしばらくはいくつもりだ。ただ,将来的には一本化することには何ら変更はない。

佐野氏 私は社長就任以来,三洋電機の強みを最大化するような構造改革やリソースのシフトを進めてきた。今回の完全子会社化の後も,2次電池やハイブリッド車,太陽電池などの事業は三洋電機のコアとして,グループ全体のシナジーを生み出せるかという視点で再編を含めた検討を進めていきたい。一方,コンシューマ機器や,白物家電,デジタル家電は,出来るだけ早く一つのブランドに統一していくことがグループの利益の最大化につながると認識している。もちろん,これまで60年にわたって皆さんに愛されてきたSANYOブランドが消えるのは,社長としては寂しい思いは当然ある。しかしながら,製品として親しんでもらえるのであれば「by Panasonic」であっても,我々の商品に込めてきた想いはこれからも伝わっていくと思っている。

――人員削減を伴うリストラはあるのか。

大坪氏 “リストラ=人員削減”あるいは収益向上のための人員削減は全く念頭にない。我々は,リストラを事業構造改革だと考えている。より強い経営体質の企業に変えていくことを前提に構造改革を進めていく。

――2012年1月をメドに事業の抜本的の改革をする計画だが,その際にパナソニック電工や三洋電機が消滅することが想定されている。会社がなくなるという決断をしたことに対し,長榮氏と佐野氏の両社長の率直な思いを聞かせてほしい。

長榮氏 私は本日,社員に向かって社内の放送で語りかけた。グループの価値の最大化に向けて気持ちを切らさないよう,「これからは親も子もない。みんなでパナソニックなんだ」と伝えた。

佐野氏 三洋電機としては,2012年1月以降も法人としては残していくのが基本的な方向性だと認識している。社員に向かっても本日,その意向を伝えたところだ。もちろん,グローバルに戦える体制を整えるのが大前提である。

大坪氏 我々は今から,3社で具体的な検討を始め,2012年1月には再編内容を決定する。その時のキーワードは,3社の従業員にとってワクワクする,ドキドキする,夢を感じる,だ。そういった成長戦略を必ず描き出す。どうぞご安心いただきたい。